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「個別の教育支援計画」は，子ども一人一人のニーズを把握し，関係者・機関の連携による適切な教育的支援を効果的に行うために策定されることになっている。しかし，その作成・活用については様々な課題が指摘されてきた。本研究では，特別支援学校における個別の教育支援計画の作成・活用，校内外の連携に関する現状と課題を明らかにすることを目的として，管理職，特別支援教育コーディネーター，進路指導主事を対象に質問紙調査とインタビュー調査を実施した。調査の結果，個別の教育支援計画の多様な活用イメージが示された。個別の教育支援計画は，学校ごとや教師それぞれで形成されたイメージに基づいて活用され，活用の多様性が充分に共有されていないことが推察された。活用イメージの共有や，教師と子どもの係わり合いを通した活用イメージの創出により，子どものニーズに合わせた個別の教育支援計画の活用と教育・支援に繋がると考えられた。

本研究は、訪問看護ステーションの管理者を対象に、訪問看護ステーションにおけるBCPに対する取り組み状況の把握および課題を検討することを目的とし、インタビュー調査を実施した。15人の訪問看護ステーションの管理者より回答が得られた。BCPについては、全ての管理者で認知されており、BCP策定率は、26.7％であった。BCP策定の取組みでは、【具体的BCPの取組み】【多組織との連携】が抽出された。BCP策定の課題では、【BCP策定の理解不足】【BCP策定の難しさ】【地域の協力体制の構築】【有事の際の代替訪問の想定】【利用者情報の共有の難しさ】【経営面への影響】が抽出された。 在宅で生活を送る療養者の生活を支えるためには、BCPを策定するだけではなく、平時からの備えと課題特性を共有する地域の訪問看護ステーション同士の連携が必要である。

［要約］国内で初めての「新型コロナウイルス」による感染者の確認から、令和５年１月15日でちょうど丸３年となる。この３年間の経緯を事実に基づいて確認・分析することにより、当時、未曾有の事態に直面した管理職である校長が、「歴史の目撃者」として何に取り組み、何を感じたのかを記録する必要がある。次々に現場に降りかかる膨大な課題に対する「判断」の連続を支えた根拠となったものは何だったのか。そこを掘り下げることで、単なる目撃者ではなく「歴史の証言者」として、何を学び何を教訓とすべきかの輪郭が浮かび上がってくる。危機管理下における校長の適切なリーダーシップの発揮が、生徒、保護者、教職員の信頼を獲得しうる「道標」となる。そのための「決断」のヒントについて考察した。

本稿では、大学における質の高い学習教育を目指す取組として、山口県立大学生と地域住民が協力して行った国際理解学習会活動をアクティブ・ラーニングの観点から考察した。不測の事態にも対応できる力を育成する方法としてアクティブ・ラーニングが注目されている。学習会の運営は学生が行った。ゼミ活動の一環として取組んだことから、チームワークやスケジュール管理を比較的容易にできた。毎回の活動後のふり返りでは、チーム内の役割分担、連絡や情報共有をめぐる協力関係について課題や改善方針が挙げられた。世代間（学生と地域住民）関係の面では、対話的な学びの実践が注目された。イベント経験知やデジタルスキルの習熟度の差異を認め合う過程を通して、より協調性が高まったと認められる。, This article explored the international understanding activities of Yamaguchi Prefectural University’s students and citizens of Yamaguchi city. The author examined this activity of providing quality education through active learning perspective, which is attracting attention as a method for improving the capacity respond to unexpected incidents.These activities were planned and performed by Yamaguchi Prefectural University’s students. As this activity was executed through a seminar, it was convenient to schedule them and create the necessary teams. After every activity, improvement points were developed for each team members, focusing on the division of roles within the teams, their communication, and their cooperation in information sharing. Interactive learning practices were noticed as an aspect of the relationship between students and regional residents. The students and the residents, collaborated by sharing their experiences and proficiency in digital skills, which increased their cooperation through active learning.

本稿は同志社大学日本語・日本文化教育センターの集中日本語コース初級レベルのクラスにおける技能別の活動に関する実践報告である。構造シラバスで学ぶ初級クラスに、限られた時間の中で効果的な技能別活動を取り入れるため、「会話」、「作文」、「スピーチ」を連携させている実践について報告する。各技能の活動には、多くのステップが必要であるが、連携によりその一部が共有でき、効率化を図ることができた。この連携により、「会話」で話したアイディアを「作文」や「スピーチ」と共有でき、学習者にとっての文法や語彙・表現の学習負担も軽減できた。その際には、各技能の活動をほかの技能の活動の準備のみにとどめずに、各技能の十分な習得を目指した。本稿では「会話」、「作文」、「スピーチ」の活動の特性を損なわない、効率化を目指した連携について述べる。, 実践報告(Practice Report)

本稿では、筆者が2022年度から携わっている苫小牧市を事業主体とする国際化に関する事業（以下、国際化推進事業とする）の実践について報告する。また、国際交流協会及びその機能を有する組織がない地域の多文化共生推進に必要な連携と課題について実践者の視点から考察する。国際化推進事業では行政と関係者が連携し、多文化共生に対する理解の促進を目的に、外国人と日本人の協働による「多文化共生ワークショップ」「やさしい日本語講座・ワークショップ」「避難所体験」を行った。外国人と日本人が協働で活動した結果、多文化共生に対する理解の促進に一定程度の成果が見られた。また、この取り組みからは、行政が多文化共生の推進に重要な役割を果たすことが示された。一方で、事業全体の成果については何を指標とするか事前に十分な議論がなく、事業実施後の検証が行えなかった。地域日本語教育については体制が整っておらず、専門家との連携には至らなかった。多文化共生推進の萌芽期にある地域では、人的ネットワークの構築など体制整備以前の課題が山積している。

本研究は，IPE（Interprofessional education）のアウトカムである専門職連携実践コンピテンシーが，IPEの教育体験や基本属性から受ける影響について，また，他職種とのコミュニケーションの実践に与えている影響を検討した．2つの特定機能病院に勤務するすべての医療専門職3,070名を対象とする自記式質問紙調査を行い，1,691名から回答が得られた（回収率：55.1％）．Chiba Interprofessional Competency Scale 29によって測定した専門職連携実践コンピテンシーは，性別，学歴との関係は認められなかった．年齢は20歳代でその得点が低く，一定年数の職業経験がコンピテンシーを高めることが示唆された．現任教育のIPEはコンピテンシーを高めること，また，卒前教育のIPEは現任教育を介して間接的にコンピテンシーを高めることが示唆された．医師̶看護師間のモデルの検討では，コンピテンシーに関連する要因の構造に大きな違いは認められなかった．IPEの重要性が示唆されたとともに，モデルの精緻化や職種別の更なる検討等の課題が残された．

特別養護老人ホーム（以下、特養）の入所者のその人らしい生活を支える看護実践の課題を明らかにし、課題解決に向けた方向性を検討すること、また、特養の入所者のその人らしい生活を支える看護の示唆を得ることを本研究の目的とした。 A特養の看護職や入所者とその家族、他施設の看護職への面接調査や、A特養の他職種への質問紙調査から入所者のその人らしい生活を支える看護実践の現状等を把握し、その結果をA特養の施設長と看護職と共有、検討し課題を明らかにした。 A特養の看護職は「入所者中心の援助を行うことが難しい現状」、「看護職間でのコミュニケーションの難しさ」、「入所者への関わりについて深く振り返る機会がないこと」等を感じていた。また、他職種の入所者への支援や看護職に対する思い、入所者とその家族の施設における生活やスタッフに対する思い、他施設の看護職の看護実践の現状と課題、課題に向けた取り組みを把握した。これらの結果を共有し、「看護職として関わる場面を活かせず、入所者と十分な話をすることや入所者の言葉を待ち関わることができていないため、入所者の話を傾聴する必要がある」、「看護職は入所者に関わることが難しい家族への援助をできるように関わる必要がある」、「看護職間で十分に話し合い看護職の役割の再確認や看護実践について共通認識する必要がある」、「介護職との協働に向けた関わりが必要である」、「ターミナル期にある入所者の状態に合わせた援助を行うことが必要である」等、10の課題を明らかにした。 特養の入所者のその人らしい生活を支える看護実践の課題解決の方向性は、入所者への日々の関わり中で思いを捉える声掛けを意識すること、入所者の思いなどを家族が理解できる支援の実施、日々の実践の場を活用した学習機会や振り返りの機会の設定、介護職が理解できるような説明の実施などが考えられた。

本研究は、大阪教育大学(本学)教職大学院の授業の中で、受講生が主体となり、英語科授業におけるICTの活用法を考案し、本学附属校へ教材等を提供することを通して、大学院・学校間の連携をめざした大学院授業を開発することを目的とした。受講生である大学院生が、英語教育関連の理論を参照しながらICT教材を製作し、「ICT教材説明書」「ICT教材説明動画」「理論編レポート」を作成した。その後、それらを本学附属校へ提供した。受講生と附属校教員を対象にアンケート調査を実施し、結果を分析したところ、附属校へ教材等を提供することを授業の目標にしたことに関して肯定的な意見が見られた。また、事前に学校のニーズを分析することでより強固な協力関係の構築につながる可能性が示唆された。, The purpose of this study was to develop a graduate school course with collaboration between schools and the graduate school through the development of ICT materials for English lessons. Students took the initiative and provided teaching materials to our university-attached schools. The graduate students, who participated in this course, referred to theories related to English education to produce ICT materials such as the “ICT Teaching Materials Manual," “ICT Teaching Materials Explanatory Video," and “Theory Report". These materials were then given to teachers of the attached schools. Questionnaires were conducted on students and teachers and the results were analyzed. Findings showed an overall positive response regarding the goal-setting of said materials which were provided to the affiliated schools. However, further analysis of the schools' needs, done in advance, may lead to a stronger cooperative relationship.

ある地域では、町内会が子どもたちに餅つきを経験させたいという思いで、保育園から小学校までの子どもたちのもとに餅つきを出前している。集団生活の場における、口に入れるものの安全は、食育など動きとは別に難しいところがある。ここでは、小学校に焦点を当てて、取り組みの経緯、町内会の思い、受け入れ側の学校の思い、子どもたちの受け止め、子どもたちの経験していること、育っているものについて観察やインタビュー、授業参観を通して追った。

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本研究では，新潟大学附属長岡校園主催のオンラインによる幼保小連携接続研修会に着目し，研修会としての特徴を明確化した上で，参加者である小学校教員，保育者の学びの内容を明らかにすることを目的とした。本研修は(1)保育と小学校授業，両者についての研修内容から構成されること，(2)研修動画視聴やグループトーク(協議会)を中心に構成されること，(3)多様な校園種や教育施設(保幼こ小中，行政関係者)所属の参加者同士のかかわりがあったこと，の3点が主要な特徴であった。小学校入学直後および幼児期の子どもの学びや育ちの様子や，指導の在り方等について質問し，回答を分析したところ，「子どもの育ちの連続性やそれを踏まえた指導・取り組み」「子ども中心の指導や遊び・環境を通した教育」「相互理解・他校園種理解」「話し合い・情報交換・情報共有」についての学びが比較的多い傾向が示唆された。さらに，文部科学省初等中等教育局教育課程課・幼児教育課(2019)が掲げた「接続をすすめるために必要なこと」3点(①教育の特性を互いに理解すること，②連携，接続体制を作ること，③教職員が意識的に幼小接続に取り組むこと)の促進につながりうる学びの生起が示唆された。本研究のどのような特徴が参加者の学びに関連するかの検討は今後の課題であるが，コロナ禍の工夫の一つとしてなされたオンライン研修会において，連携接続推進のための意識を醸成しうることを示した点は意義深い。

本研究の目的は,質問紙調査によって, 保護者は家庭で幼児に平仮名に関する指導をどのように行っているのかという実態, 園での平仮名に関する指導に関して, どのようなことを大事だと感じているのかという意識などを調査するとともに, 園や小学校で行われている平仮名に関する遊びや指導を理解しているのかなどの実態を明らかにし, 平仮名に関する指導への保護者の関わり方, 保護者と保育者の連携の在り方を検討することにある. 質問紙調査の結果, 保護者は家庭で幼児に平仮名の読み書きを指導することを大事だと考え, 実際に指導している保護者が多いこと, 園での平仮名に関する指導に関しては, 平仮名への関心を高めること, 鉛筆の持ち方の指導, 自分の名前の読み書き, 平仮名を読むことを大事だと考えている割合が高いこと, 園や小学校での平仮名に関する指導について知らない保護者の割合が高いことなどが明らかになった.このことをふまえ, 平仮名に関する指導への保護者の関わり方, 保護者と保育者の連携の在り方について考察した.

本研究は、小学校に在籍する特別な支援を必要とする児童の早期支援の在り方と校内体制の構築に関する研究を目的に、滋賀県K市内の小学校低学年(1～3年)を担当する教員に対しアンケート調査を行った。低学年における学習面、行動面、対人面、生活面で困難さを抱える児童の人数や割合、学級の最も気になる児童が持つ困難さと各小学校の校内支援体制の達成度を明らかにし、支援体制が進んでいるA小学校と遅れているB小学校の比較から、校内支援体制を構築する上で必要なことを分析した。その結果、学級で困難さを抱える児童の中で「とてもよく該当する』と回答した教員の分析から低学年の児童の困難さは、学習面、行動面(不注意・多動性)については学年が上がっても高い割合で継続することがわかった。校内支援体制については、個別の教育支援計画や特別支援教育コーディネーターの達成度が高い反面、校内研修、他機関との連携、学習面の合理的配慮の達成度が低いことが浮き彫りとなった。さらに、他機関との連携や保護者との連携については、共通理解や教職員連携の達成度が低かったため、K市におけるA小学校とB小学校の現状比較から教職員の研修機会の確保と校内体制の整備を促進することが求められる。, This study conducted a questionnaire survey of elementary school teachers who arc in change of teaching lower grades (1st to 3rd year) in K City, Shiga Prefecture, for the purpose of research on the early support of children who need special support in elementary schools and the construction of an in-school system. We clarified the number and proportion of children who have difficulty in learning, behavior, faceto-face, and what kind of, difficulties faced by the children who are most concerned about in the class, and how well each school of the school support system of each elementary school is. We analyzed what is necessary to build up the school support system by comparing elementary school A which has progress support system and school B which is not good at special support. As a result, from the analysis of teachers who answered that it corresponded to "very well among children with difficulties in the class, it was found that the difficulty of children in the lower grades continued at a high rate in terms of learning and behavior (carelessness and hyperactivity) even when the grade increases. Regarding the school support system, it is clear that while the individual educational support plans and special support education coordinating are done very well, training programs for teacher does not cooperate with other institutions very well, and their consideration of handicapped children on learning is not enough. Furthermore, since the level of common understanding and faculty and staff collaboration was low in cooperation with other organizations and cooperation with protection, it is necessary to secure training opportunities for faculty and staff and promote the development of an on-campus system from the comparison of the current situation of A elementary school and B elementary school in K City.

The purpose of this study is the following two points. (1) Focusing on learning support providers that emphasize life support, clarify the actual situation of cooperation between learning support providers and schools based on the Act on Support for Independence of People in poor. (2) Clarify administrative tasks to promote cooperation between learning providers and schools. In this study, we conducted a questionnaire survey and an interview for learning support providers. As a result of analyzing the investigation results, the following seven points were clarified. (1) The learning support providers mainly needed cooperation with the school to share the state of the “Worried Child” with the school and to search for a support method. (2) Providers that place importance on life support was more aware of the need to share information with schools regarding “Worried Child” than providers that place importance on other purposes. (3) Providers that place importance on life support supported children, including families in poor, by sharing sensitive information about “Worried Child” in cooperation with schools. (4) However, about 40% of Providers that emphasize life support answered that the cooperation with the school was “not very successful” or “not at all.” (5) Regarding providers that emphasize life support that do not cooperate well with schools, “NPO corporations, etc.” were more aware of the reason why cooperation did not work well than the “Social Welfare Council”. (6) Providers that emphasize life support that cooperate well with schools shared their children's personal information with schools not only by working on schools but also by obtaining the cooperation of the government. (7) Some providers that emphasize life support described “established a conference body involving the Board of Education and the welfare department” and “cooperate with great power” are necessary to promote cooperation with schools in the future. From the above, we considered that there are the following two administrative tasks regarding the promotion of cooperation between providers that emphasize life support and schools. (1) Both education and welfare administrations should establish the infrastructure for sharing children's information and building relationships between schools and providers that emphasize life support. (2) The government should give priority support to the promotion of cooperation with schools for “NPO corporations, etc.” that do not cooperate with schools among providers that emphasize life support.

新型コロナウイルス感染症によって、在宅医療・訪問看護を取り巻く環境は一変した。そこで、コロナ禍で訪問看護が直面した困難と対応、課題を明らかにするため、Ａ県の訪問看護ステーションへ半構造化面接による調査を行った。 複数の訪問看護ステーションでは、面会制限や通所サービス休止などにより利用者数や看取りが増加した。利用者はADLの低下や認知症の進行等があり、家族ともに不安や心身の負担が増していた。訪問看護師は、PPE確保に奔走し、徹底した組織的・運営管理的な感染予防策やICTの活用、勤務調整、他職種・他機関との連携など対応を講じたが、業務が煩雑化したり情報共有が十分行えない課題が生じていた。在宅看取りの満足度は高く、コロナ禍での訪問看護の強みとなっていた。 コロナ禍の経験により感染対策とスムーズなICT活用による情報共有のさらなる充実が災害対策としても必要な課題であることが明らかとなった。

目的：ネットワークづくりを見据えて広域行政圏の２精神科病院での地域連携の取組みと課題を明らかにする． 方法：２精神科病院で地域連携をよく知る看護師，一病院３～４名計７名を対象に，地域移行の取組みと課題について一人60分程度の半構造化面接を実施した．データは「制度精神療法」の「制度」の視点で作成した「連携モデル」に照らして分析した． 結果： C精神科病院の専門性は，これまでの治療の問い直しや，グループホーム（以下，GH）との連携に生かされず，地域移行は推進できていなかった．今後は，エリア限定のアウトリーチ強化へと注力され，E圏域は切り離される可能性がある．D精神科病院は，これまでを問い直し，地元性を生かし社会的入院の解消に向けて，１年未満の患者の地域移行を看護から推進していた．しかし，GHの不足から他圏域のGHへ患者を退院させるという方針を立てるに至っていた． 考察：E圏域ならではのケアネットワークの構築が喫緊の課題である．, Objective: To clarify the approach to and issues of community cooperation with respect to future network creation at two psychiatric hospitals in a large administration area. Methods: Semi-structured interviews （approximately 60 minutes each） regarding approaches to and issues of community cooperation were conducted at two psychiatric hospitals with seven nurses （three or four per hospital） who were well versed in community transition. The obtained data were analyzed by considering the “cooperation model” prepared from the viewpoint of the “institution” in “institutional psychotherapy.” Results: C psychiatric hospital did not utilize its expertise for reexamination of past treatments or cooperation with group homes （GH）, and thus did not contribute to the promotion of community transition. In the future, this hospital may focus on strengthening area-limited outreach, which may result in alienation of area E. D psychiatric hospital reexamined past experiences and, in an effort to eliminate social hospitalization, promoted community transition of patients with less than one year of hospitalization by using local networks. However, because of a lack of GHs, the hospital had to plan the discharge of the patients to GHs in another area. Discussion: The creation of a care network specific to area E is an urgent issue.

近年，児童福祉法の改正や新しい社会的養育ビジョンを受け，児童養護施設では自立支援やアフターフォロー体制の強化等の高機能化が求められている．しかし，これまで児童養護施設入所児の自立は困難な状況にあった．その理由の一つに，経済的問題による進学率の低さがある．現在は制度の拡充等を通して，進学の門戸が開かれつつあり，今後，進学のための学習支援が求められるようになっている．学習支援はその形態によって様々な課題はあるものの，ボランティアや学習塾等の外部の資源を活用すると同時に，その連携の在り方が問われている．そこで，本研究では児童養護施設における学習支援に関して，施設内外の連携上の課題について整理を行い，今後の有効な連携の在り方を検討することを目的とした．方法として，学習支援における連携に関する文献収集を行い，KJ 法により整理・関連づけを行なった．その結果，「児童養護施設における学習支援の連携上の課題」として，「学習支援者の制約」「共通理解の不足」「活動ガイドラインの整備不足」「コーディネート機能の不調」の４つのカテゴリーが生成できた．また，学習支援のプロセスとして，準備段階，導入段階，活動段階として，それぞれのカテゴリーが図式化された．準備段階においては，学習支援者の基礎的な専門性の不足や安定的な活動の困難，責任に対する負担感が連携上の課題と考えられた．また準備段階においては，施設と子ども，施設と学習支援者が学習支援の目的や成果，授業形態，支援者の役割等について十分な合意が行われていない場合に，連携に支障を来しやすいと考えられた．活動段階においては，活動のマニュアルや計画の未整備，施設職員と学習支援者，学習支援者同士の情報交換を促せるようなコーディネートがなされていない場合に，連携に支障を来しやすいと考えられた．

社会環境や生活状況の変化にともない，子どもの心身の健康に関わる多様な問題が生じている．このような中で，健康教育を通してヘルスプロモーション能力，すなわち「生涯にわたって健康で安全な生活や健全な食生活を送ることができるよう，必要な情報を自ら収集し，適切な意思決定や行動選択を行うことができる力」を育むことが求められている．本校では，2017 年度からヘルスプロモーション部会を立ち上げ，ヘルスプロモーション能力の育成を目指した教科・領域横断的な健康教育の取組を進めている．今年度は，新型コロナウイルス感染拡大による制限を受けながらも，それぞれの実践において他教科・領域との連携を基盤とし，社会環境や現代的課題に焦点をあてた実践を深めることができた．これにより，ヘルスプロモーティングスクールの実現に向けて寄与することができたと考えられる．

「目的」本研究の目的はＡ県の３年間にわたる訪問看護ステーション連携強化の取組について意義と課題の整理を行い、今後の訪問看護ステーション連携について検討することを目的とした。「方法」Ａ県の同意の得られたすべての訪問看護ステーション419か所に所属する訪問看護師3,750名を対象として無記名自記式質問紙調査を実施し、統計学的解析を行った。「結果」936名から回答を得た（有効回答率：25.0％）。交流会に参加して他のステーションと連携がしやすくなったのは37.1％だった。今後の必要性について、交流会を必要とする肯定群は936人中641人（68.5％）で、同行訪問研修を必要とする肯定群は936人中562人（60.0％）だった。しかし同行訪問研修の実際の参加率は16.8％にとどまり、参加の困難さがあった。医療介護福祉の連携意識は、年代と職位に有意な差があった。また交流会および同行訪問研修の必要性と連携意識に有意な差があった。在宅医との連携では、最も必要であると感じているが、連携の取りやすさでは困難さを感じていた。「考察」本研究結果では訪問看護ステーション間での連携の深まりを明らかにすることはできなかった。しかし交流会や同行訪問研修の必要性を感じている割合が高かったことから継続する意義はあると考えた。その意義として具体的には、連携上の課題が共有でき、医療的ケアの知識や技術が学べることや運営方法を知る機会となることである。また在宅医療推進のために在宅医との調整の積み重ねの必要性があり、コミュニケーションスキルを磨き、連携力を獲得していくための場への積極的参加の啓発と参加しやすい仕組みづくりが必要である。

自然災害が頻発する日本では、在宅療養者は災害時に在宅療養継続困難となるリスクが高い。本研究は、訪問看護ステーションの看護師を対象に在宅療養における災害対策の現状と課題を明らかにするためインタビュー調査を実施した。 災害対策の取り組みの課題として、災害時マニュアル作成・活用、関係機関との連携、個人情報保護、災害時対応、訪問看護師の力量形成、災害への無関心などが明らかになった。 関係機関との連携に関する課題は、平常時の情報共有・意見交換、連携体制の構築、災害時の連携などが挙げられた。 訪問看護ステーションが単独で可能な取り組みは限られており、県内のステーションで組織される協議会や連携強化事業等の取り組みの中で、広域での情報共有や役割分担、同業者や多機関との連携体制の構築が試みられていた。このような取り組みを行政が主体となって実施し、県内のステーションの連携体制を強化する事で各ステーションが抱える課題解決にもつながることが期待される。

Article, 令和3年度 信州大学大学院教育学研究科高度教職実践専攻（教職大学院）実践研究報告書抄録集 : 113-116(2022)

《目的》訪問介護での訪問看護との連携について,その影響を受ける当事者である利用者が評価する項目の検討を目的とした.《方法》東京都A市内の24訪問介護事業所の利用者1,321人を対象に質問紙調査を行い,有効回答667件のうち訪問看護を同時に利用している171件を分析した.訪問看護と訪問介護の聞き取り調査から作成した14項目を因子分析した.項目の測定内容を調べるためにヘルパーとの援助関係尺度,連携の全般的評価との関連を調べた.《結果》因子分析により2因子8項目の連携評価項目案が得られ,測定内容を調べるためのヘルパーとの援助関係尺度,連携の全般的評価とも有意な関連を示した.評価項目全体のα係数は.837であった.《考察》訪問介護と訪問看護の2つのサービスを利用する高齢者及び家族が両者の連携を評価する項目の可能性が示唆された., ObjectiveThe purpose of this study was to explore items for users of visiting nursing and visiting care to measure the quality of collaboration between these services, which has an impact on the users．MethodA questionnaire survey was conducted on 1,321 users of 24 visiting care facilities in A city in Tokyo, and of 667 valid responses, 171 responses of cases which had simultaneously used visiting nursing services were analyzed． A factor analysis was performed on 14 items, which were created based on an interview survey on visiting nursing and home care． To review contents covered by the items, relations of each item with a scale about supportive relationship with home and helpers, and general evaluation of collaboration were examined．ResultsA set of eight evaluation item candidates with two factors was identified by the factor analysis． It indicated a significant relation with the scale about supportive relationship with home helpers and the general evaluation of collaboration, which were used for item analysis． A coefficient alpha of tall the items was .837．DiscussionIt was suggested that these items may be used to enable elderly people and their families to evaluate the collaboration between visiting nursing and home care services they are using．

2020年1月に国内で新型コロナウイルス感染症が確認されてからの2年間，大学はこれまで経験したことがない対応を迫られ続けてきた．入構制限は長く続き，入学式などの行事は中止され，課外活動は制限され，遠隔授業が中心となった．教職員は当たり前であったキャンパスライフを経験できない学生への多様な支援を手探りで進めてきた．学生相談室においても，対面を前提とする活動の変更を余儀なくされた．一方で，オンラインでの相談や企画など従来とは違う活動の選択肢も増えた．本稿では，コロナ禍における本学での学生相談室の活動状況を振り返り，学生相談室としてコロナ渦における多様なニーズのある学生に対する修学就職支援にどのように関わったかについて明らかにすることを目的とした． Since the first COVID-19 case was confirmed in Japan in January 2020, universities have been under pressure to take measures to combat the spread of the virus and support students. Entrance restrictions continued for a long time, events such as entrance ceremonies were canceled, extracurricular activities were restricted, and remote classes were held. Faculty members have been seeking various kinds of support for students who could not experience normal campus life. In our student counseling room, activities were modified on the premise that meeting face-to-face was restricted. Moreover, the number of options for non-traditional activities such as online counseling and meetings increased. This study aims to review our student counseling room activities during the COVID-19 pandemic, and clarify how our student counseling room supporting students with diverse needs., 特集「コロナ禍における多様なニーズのある学生に対する修学就職支援」, 調査報告

本研究では，高等学校生物科目で学習する酵素の競争的阻害という現象を，根拠に基づいて生徒が理解できるように構築された観察･実験の開発を目指している。新しい高等学校学習指導要領（平成30 年告示）解説 理科編理数編によると，探究活動の充実を通じて理科の目標の実現を図らなければならない。そこでこれまでとは異なり，授業に導入可能な新しい観察･実験方法の確立が急務であるところから，授業時間内に実施できる探究活動の構成を目指した。本研究で開発した実験方法は高校では実施困難な可能性がある内容も含まれるので，大学等高等教育研究機関との密接な連携をとりながら，高校生を主体とした探究活動が実施可能な提案を行っている。結果，実験の環境が整っていない高校であっても，大学等高等教育研究機関との連携によって，高校生の科学的な探究活動を通じた学習で活用可能な実験方法を提案できたと考える。

平成5年度に法制化された通級による指導を受ける児童及び生徒の数は、当初の12,259人から増加の一途を辿っている。また、平成30年の学校教育法施行規則改正により、通級による指導を受ける児童生徒全員に個別の教育支援計画を作成することとなった。こうした通級指導教室の規模の拡大や、個に応じた指導の充実が求められている状況を踏まえ、本研究では個別の教育支援計画の活用に向けての課題と通級による指導の具体的な課題を明らかにすることを目的とした調査を行った。A県B市の小中学校通級指導教室担当教員への質問紙調査及び県内5市の通級指導教室担当教員への面接調査の結果から、「個別の教育支援計画の作成及び活用」「通級による指導の連携」「「通級による指導」をめぐる人材育成」の三観点において現状の課題と今後必要な取り組みについて検討した。

本研究は，これからの実習指導のあり方について探索的に明らかにするために調査を実施した。先駆的な実践をしている保育者を養成している学校の中から北海道・東北地区から１校，関東地区から１校，中部地区で１校，関西地区で１校を選定した。さらに，千葉県内の状況を把握するために１校選定した。合計５校の実践の事例を概観する中で，先駆的な実践の共通点を見出すことができた。共通していることとしては，教員間の同僚性や協働がうまくいっており，かつ教職協働の風土があり，教員と職員が信頼関係を築きながら共に学生を育てていくという目的が明確であること，実習施設との連携だけでなく，学生を共に育てるという目的意識の共有化，どのように育てていくかという合意がみられた。そして，教育において，体験を通して学生が育つという機会をつくり，授業において理論で学んだ内容と実践を通して体験から学んだこととの間に，いわゆる理論と実践の往還がなされていた。

目的：A町の保健師が仮設住宅入居後の生活不活発病や転倒といった身体機能低下の発生リスクの軽減を目的に行った仮設入居者の配置に関与して得られた結果や災害時に効果的に活動を展開するために必要な平時の保健師活動のあり方について考察する。方法：A町のC仮設住宅90戸の健康調査訪問に関する情報を整理し、2016年５月末時点の介護保険認定データと2017年６月末時点での介護保険認定データの比較と、C仮設住宅の団地内で行った介護予防活動の取り組み情報を整理した。活動内容：保健師が調査対象者を整理し、リハビリテーション職と同伴で49世帯に健康調査を行い、介護予防の視点から仮設住宅配置に関する検討を重ねた。また、保健師はC仮設団地内に住民主体の介護予防事業の立ち上げを支援し、住民主体の介護予防事業に速やかに取り組むことができた。結論：平成28年熊本地震における仮設住宅の入居者配置に介護予防の視点から保健師が関わることで、仮設入居後の生活不活発病や転倒といった身体機能低下の発生リスクの軽減や自主的な介護予防事業の取り組みにつながる可能性が高い。平時から各関係機関との連携が必要である。

本研究では、人生の終末を生きる高齢患者が自分らしく過ごすための支援指針に基づいて組織全体で支援を実践し、高齢患者が自分らしく過ごすための支援のあり方を検討することを目的とする。 筆者が先行研究で考案した「高齢患者が自分らしく過ごすための継続的支援の指針（以下、指針）」を用いて支援を実践するため、まずは関連職種の意識向上と知識習得に向けた学習会を開催した。次に、高齢入院患者3 名に対し指針に基づいた支援を実践し、支援の評価として退院後の患者への面接調査や振り返りのカンファレンスを行った。最後に、関連職種の質問紙調査やリーダー看護師の面接調査を行い取り組みを評価した。 多職種・多施設で意向の実現に向けた支援を行う意義や方法を考えながら、事例を重ねたことで、援助者は日々の関わりの中で人生の終末に関連する高齢患者の意向を捉え、実現に向けた支援を継続できた。そして、高齢者本人が考える生きる意味や目的を捉えて支援する重要性が明らかになった。 取り組みにより、援助者の高齢者のエンド・オブ・ライフケアに関する理解や意識が高まり、多職種・多施設で高齢患者が自分らしく過ごすための継続的な支援を行う風土がつくられた。指針に基づいた支援の実践の結果から、高齢患者が自分らしく過ごすためには「意向把握する姿勢をもって関わる」「心身の苦痛を取り除く」「これまでの病の体験における思いや考えを言語化できるよう関わる」「誰かと共に生きている高齢患者の暮らしを捉える」等が必要であると考えた。 指針に基づいて組織全体で支援を行うことは、援助者の意識向上や能力向上につながり、高齢患者が自分らしく過ごすための継続的支援を可能にすると考える。 支援のあり方として「高齢者の特徴や抱いている思いを理解して尊重すること」「誰かと共に生きている高齢者の暮らしや人生に焦点をおくこと」「“生と死” について考え続けること」が重要であると考える。