生物の生活環境中には遺伝子レベルでの障害あるいは染色体異常を誘発させる化学物質が多数存在している。 それらの中,特に遺伝的障害を発現する化学変異原物質を検出するために数多くの検出系が考案されている。マウスを用いての実験においては生殖細胞の染色体異常の検出系として優性致死試験や遺伝性転座試験が多く用いられている。しかし,これらの検出系は実験の規模が大きく簡便とはいえない。一般に個体の発生は生殖細胞が合体した1細胞期胚から始まると言える。従って,両親のうちのいずれかの生殖細胞において誘発された障害,あるいはこの障害をもつものを親とする次世代における染色体レベルの遺伝的障害は,さかのぼって1細胞期胚における染色体異常の有無を検索することにより,事前に発見できる可能性があると考えられる。さいわいマウスの1細胞期胚の染色体は特異的で,精子由来と卵子由来の染色体が識別できるので雌雄いずれからの異常かが判別可能である。しかし,1細胞期胚の染色体異常に関する報告は少なくさらに1細胞期胚の染色体異常と他の遺伝的障害との関連性についても明らかにされていない。このことは1細胞期胚の染色体標本作製技術にも問題があると考えられる。 今回の研究は,まず第1にマウス1細胞期胚の染色体標本作製法の改良・開発,第2に,この改良・開発した方法を利用することによって,1細胞期胚の染色体分析結果が環境変異原により発現される優性致死作用や次世代の転座ヘテロ個体の誘発頻度を事前評価できる簡便な検出系になりうるかどうかを検討することを目的とした。そのため既知の化学変異原物質を雄マウスに投与することにより,受精前の配偶子あるいは 受精後の1細胞期胚及び障害を持つ雄による次世代のF_1個体に亘っての障害を明らかにするため種々の実験を実施した。 実験材料と方法 9週齢の雄マウス(Slc-BDF_1)を用い,体重1kgあたり,以下の各変異原物質のそれぞれの量を単独で1回,腹腔内に投与した。 Methyl methanesulfonate (MMS, 100mg) Cyclophosphamide (CPA, 240mg) Trimethylphosphate (TMP, 300mg) Nitrogen mustard-N-oxide hydrochloride (HN_2-O, 100mg) iso-propyl methanesulfonate (i-PMS, 200mg) Procarbazine hydrochroride (PC, 800mg) Mitomycin C (MC, 5mg) Fosfestrol (DSDP, 300mg) なお,X線照射(500 rad)雄マウスについても比較のための実験を行った。 これらの処置をされた雄マウスを経時的に成熟正常雌マウスと交配させ,著者の考案した一連の術式を用いて雌マウスより1細胞期胚を採取し,精子由来の染色体を検査した。 他方,交配後1細胞期胚を採取せず,妊娠を持続せしめた雌マウスについても経時的に着床や胚死の状況を追求すると共に分娩にまで至ったものについては新生仔中のF_1雄個体について遺伝的障害因子保有の有無を知るため,性成熟後に正常成熟雌マウスと交配させ,着床や胚死等の有無を含め,受胎状況を観察し,変異原物質を処置された初代雄の精子による次世代雄への遺伝的障害の有無についても追求した。 また,同様処置した雄マウスの精巣の組織学的所見および精子の形態異常についても検討した。 この他,雄生殖細胞のDNAレベルの障害とその修復機能を観察するため,アイソトープ(thymidine-methyl-^3H)を精巣に投与後,経時的に精子を回収し,オートラジオグラフを作製して不定期DNA合成の発現の有無についても適宜検査した。 また,精子による遺伝的障害以外に精液を介して薬物の雌体内への機械的な搬入による障害等も考慮し,精液中の薬物検出も一部実施した。 実験結果 本研究で改良・開発したマウス1細胞期胚の染色体標本作製法は従来の方法と異なり,標本作製が簡便で,しかも低数性の染色体の発現頻度が低く染色体分析の可能な標本作製についての成功率が高かった。この方法を用いて,精子細胞および精子をMMS,CPA,TMP,HN_2-O,i-PMSおよびX線で処置し,その精子による1細胞期胚の染色体分析を行った。その結果,精子由来の染色体において主に染色体型の異常が観察された。しかし,PCおよびMCで精子細胞および精子を処置した場合は,主に染色分体型の異常であった。一方,精原細胞および精母細胞をPC,MC,i-PMSおよびX線で処置した場合は不受精卵が高頻度に観察された。 変異原物質を雄生殖細胞に処置した場合の各雄生殖細胞に対する優性致死誘発率は,化学変異原物質の種類により異なり,精原細胞では高いが,精母細胞,精子細胞および精子の順に優性致死率が減少するタイプ(PC,MCおよびX線),精子細胞ないし精子に対しては優性致死誘発作用が高いタイプ(MMS,CPA,TMPおよびHN_2-O),全ての生殖細胞に対して優性致死誘発作用が高いタイプ(i-PMS)に分類された。また精原細胞および精母細胞の障害に起因する優性致死現象は着床前の胚の損失によるものであったが,精子細胞および精子に対する化学物質の影響による優性致死現象は主に着床前の胚の損失と着床後の胚死によるものであった。これらの実験結果はこれまでの報告とほぼ一致した。 精子細胞や精子に対してMMS, i-PMSおよびX線を処置した雄を用いて交配させ,排卵後72時間目の胚を回収して分析した結果,卵割遅延および卵割停止が観察され,それらの障害の程度は変異原物質の種類により異なった。 精子をHN_2-Oで処置した後に交配受精させ,出産させた次世代F_1雄の妊孕性試験の結果においては,着床後の胚の死亡を主に引き起こす半不妊および着床胚が全く観察されない不妊のF_1雄個体が高頻度に発現した。これらのF_1雄の半不妊および不妊個体の精巣組織学的検索では,不妊個体において精母細胞での精子形成阻害が観察され,一方,半不妊個体では正常な精子形成が認められた。また,これらの半不妊個体の精母細胞の染色体分析では,非相同染色体間の相互転座を示す鎖状および環状の4価染色体が観察され,相互転座ヘテロ個体であることが確認された。 他方,MMS,MCおよびi-PMSを投与された処置当代における雄について精巣の精子形成および精子の形態に対する影響について組織学的に検索した結果,精母細胞,精子細胞および精子の顕著な細胞死および精子形成阻害は観察されなかった。しかし,MCおよびi-PMSを投与した場合は,精原細胞のDNA合成阻害による一時的あるいは永久的な分裂阻害が観察され,これらの精巣は萎縮が観察された。MCを投与した場合の精子の形態異常は主に精母細胞および精原細胞処置のものに観察された。一方,精子変態を過ぎた段階での精子をMC,MMS,i-PMSおよびX線で処置した場合,精子の形態異常は観察されなかった。 生殖細胞のDNA傷害の修復を示唆する不定期DNA合成はMMS,TMPおよびPCを精母細胞および精子細胞に対して処置した場合誘発されたが,MC処置の場合は誘発されなかった。一方,精子に対してMMSおよびMCを処置した場合は誘発されなかった。 考察 以上の実験結果から,精原細胞および精母細胞処置による優性致死試験で観察された着床前の卵の損失は精原細胞の分裂阻害あるいは障害をうけた大部分の精母細胞が発生して精子変態過程において精子形態異常を引き起こし,受精能に支障を生じ,その結果,不受精卵が生じたものと推察された。一方,精子細胞や精子処置により観察された着床前後の胚の損失は,1細胞期胚の精子由来の染色体異常に起因し,染色体異常を有した1細胞期胚が発生し卵割遅延あるいは卵割停止を生じた結果胚死亡を引き起こしたものと推察された。 不定期DNA合成がDNA障害の結果発現したDNAの修復現象と仮に考えると,精子では不定期DNA合成が発現されず,修復能が欠損しているものと推察された。また,精子形成過程に対する優性致死の発現時期と不定期DNA合成の発現時期との相関性が認められないことより,この2つの現象は発現機構を異にするものと思考された。 化学変異原物質を精子細胞および精子に処置し,それを用いて受精した1細胞期胚の染色体分析で主に染色体型の異常を誘発する化学変異原物質は次代のF_1雄に高頻度に半不妊および不任を示す転座ヘテロ個体を誘発し,一方,染色分体型の異常を発現する化学変異原物質の処置では転座ヘテロ個体の誘発頻度が低い。このように,1細胞期胚で観察された染色体異常の種類および発現頻度とF_1を対象とした場合の転座ヘテロ個体の発現頻度とは相関関係が認められた。 体細胞の染色体に対する放射線と化学物質の作用の違いは,放射線は細胞周期と無関係に染色体異常を発現するものに対し,化学変異原物質はどの細胞周期に処置しても染色体異常を発現するには処置した細胞がDNA合成期を経過する必要があり,そこに発現される染色体異常は主に染色分体型であると言われてきた。しかし,本研究においては化学変異原物質を細胞周期のG_1期にあたる精子細胞および精子に処置し,受精後1回目のDNA合成期を経過した1細胞期胚の染色体分析を行った結果,体細胞の場合とはかなり異なり,主に染色体型の異常が発現された。従って,変異原物質による次世代への遺伝的障害の事前評価には生殖細胞を用いた検出系の必要性を指摘したい。 なお,化学物質を雄個体に処置した場合,その化学物質が射出精液を介して雌個体に持ち込まれ,母体に作用し,二次的に卵の発生あるいは着床に影響を及ぼす場合がありうる結果がえられた。そのため化学物質による優性致死試験の結果の評価においては,遺伝的影響以外に化学物質の射出精液を介した雌マウスへの持ち込みによる影響をも併せて考慮する必要性が指摘される。 以上の実験結果より以下の結論が得られた。 1) 本研究において改良・開発されたマウス1細胞期胚の染色体標本作製法は,簡便であるとともに,信頼度の高い方法である。 2) 1細一期胚の染色体分析は,化学物質に暴露された配偶子の受精能に対する影響も判定できる。 3) 優性致死試験で胎仔の認められない場合の原因について,これが不受精によるのか,染色体異常によるのかの判定には,1細胞期胚の染色体の分析が有効である。 4) 顕著なDNA障害を有した精子でも受精は可能であり,この場合,1細胞期胚において染色体異常が観察される。 5) 体細胞の場合と異なり,雄生殖細胞を化学物質で処置した場合は,1細胞期胚の染色体分析で,おもに染色体型の異常が発現され異常の発見が容易である。 6) 染色体異常を有した大部分の1細胞期胚は,初期胚および胎仔において発生遅延や発生停止を引き起こし,致死経過をとる。 7) 化学変異原物質で雄生殖細胞を処置した後,1細胞期胚の染色体分析で主に染色体型の異常を発現させる化学変異原物質は,次世代のF_1において転座ヘテロ個体を高頻度に誘発する。 従って1細胞期胚の染色体分析は優性致死および次世代の転座ヘテロ個体の発現頻度を事前評価でき,環境変異原物質を対象とした簡便な遺伝毒性の検出系として充分利用できるものと考えられる。, A large number of chemical mutagens that may exert potentially hazardous effects on DNA of animal life exist in our environments. A large variety of test methods have been introduced for the detection of these substances that engender genetic risks. However, a single test method does not permit detection of all genetic damages, because of the multifariousness and multiformity of damages. Genetic damages can be categorized into two main types; gene mutation and chromosomal aberration. Mammalian mutagenesity tests for the detection of chromosomal aberrations induced in germ cells by various agents are usually achieved by dominant lethality test and heritable translocation test. However, these tests are costly and time-consuming. Furthermore, they require a very large number of animals. Since life begins with one-cell embryo, chromosomal aberrations induced in male or female germ cells or transmissible chromosomal aberrations actually transmitted to a next generation may be preestimated by cytological analysis of one-cell embryo. At the first cleavage metaphase of mice, paternal and maternal chromosome sets can be readily distinguished by differential chromosome condensation. Therefore, it is possible to discriminate the origin of chromosomal aberrations at the first cleavage metaphase. The purpose of this study is to investigate various genetic disorders induced in male gamete, one-cell embryo, early embryogenesis before and after implantation and F_1 offspring by treatment of male mice with known chemical mutagens. Important aspects of this experiment are to determine whether chromosomal aberrations detected in one-cell embryo correlate with various genetic damages induced by treatment with chemical mutagens and, furthermore, to evaluate the usefulness of cytological analysis of one-cell embryo as a simple test method that permits preestimation of dominant lethal effects and heritable translocations due to environmental mutagens.Materials and Methods Slc-BDF_1 (C57BL/6 X DBA/2) mice, 9 weeks old at the commencement of the experiment, were used. In all experiments, male mice were treated by intraperitoneal injectin of a single dose of chemicals. The chemicals used were methyl methanesulfonate (MMS, 100mg/kg), cyclophosphamide (CPA, 240mg/kg), trimethylphosphate (TMP, 300mg/kg), nitrogen mustard-N-oxide hydrochloride (HN2-O, 100mg/kg), isopropyl methanesulfonate (iPMS 200mg/kg), procarbazine hydrochloride (PC, 800mg/kg), mitomycin C (MC, 5mg/kg) and fosfestrol (DSDP, 300mg/kg). X-ray irradiation (500 rad) was also used for comparison with the chemical mutagens. After treatment, each male was mated with a normal female. One-cell embryos of the first cleavage metaphase were then collected from the ampulla, and chromosome specimens prepared by a specially devised technique were analyzed for chromosomal aberrations in the paternal chromosome sets. Also, embryos were flushed from the oviduct and uterus on day 4 of pregnancy to examine the conditions of embryonic development. Furthermore, in the dominant lethality test, the numbers of live and dead embryos were counted in females dissected on day 13 of pregnancy. A fertility test of F_1 male offspring was also performed to investigate whether chemically induced damages in paternal germ cells were transmitted to the F_1 generation as heritable tanslocation carriers. The testes and sperm from the vasa deferentia were removed at various times from animals treated with chemicals. The testis sections were observed to evaluate spermatogenesis and to determine stages at which arrest of spermatogenesis occurred. Sperm shape abnormalities were also examined. Unscheduled DNA synthesis in male germ cells, which reflects a repair of chemically damaged DNA, was also investigated using thimidine-methyl-^3 H. Detection in females of ejaculated chemicals that had been injected intraperitoneally into males was also attempted, because it was considered possible that the transfer of injected chemicals by ejaculation to females may exert an embryotoxic effect apart from genetic damages.Results and Discussion The new method of preparing chromosome specimens employed in the present experiment was a reliable and simple technique enabling karyological examination of embryos from one-cell to blastocyst of mice. Excellent spreading of chromosomes can be obtained with a low frequency of hypoploid mtaphase. Mainly a chromosome type of aberrations was detected in the paternal chromosome sets at the first cleavage metaphase after treatment of spermatozoa and spermatids with MMS, CPA, TMP, HN2-O, iPMS or X-ray. However, chromosomal aberrations detected after their treatmen with PC or MC consisted mainly of a chromatid type of aberrations. On the other hand, treatment of spermatogonia and spermatocytes with PC, MC, iPMS or X-ray resulted in an increased frequency of unfertilized eggs in analysis of one-cell embryos. The dominant lethality by treatment of male mice with the mutagens showed differential spermatogenic responses depending on mutagens. The dominant lethality patterns specific to germ cell stages were divided into three types. In type 1 (PC, MC or X-ray), the dominant lethality induction decreased with spermatogenesis from spermatogonia to mature sperm. In type 2 (MMS, CPA, TMP or HN2-O), the induction of dominant lethality was frequent in spermatozoa and late spermatids, and infrequent or not observed in spermatocytes and spermatogonia. In type 3 (iPMS), the dominant lethality was induced frequently in all the spermatogenic stages. The majority of dominant lethality induced in spermatozoa and spematids resulted from the pre- and post-implantation losses of embryos, while those induced in spermatocytes and spermatogonia resulted from the preimplantation loss. The embryonic development was considerably retarded in emryos of day 4 of pregnancy as a result of MMS, iPMS or X-ray treatment of male postmeiotic germ cells. This developmetal retardation differed by the kind of mutagens. A heritable translocation test was performed in F_1 male mice collected from mothers that had been mated with males treated with HN2-O. The test showed a high frequency of sterile and semi-sterile F_1 male offspring. Histological testicular analysis of the sterile and simi-sterile F_1 males revealed arrest of spermatogenesis at the stage of spermatocyte in the majority of sterile F_1 males, but normal spermatogenesis in semi-sterile F_1 males. Cytological analysis of these sterile and semi-sterile F_1 males at diakineisis-metaphase I of spermatocytes revealed the presence of chain- or ring-shaped four configuration in most of them, confirming them to be translocation carriers. Histological analysis of the seminiferous tubules after treatment of the testes with MMS, MC or iPMS demonstrated no disturbance of the development of spermatocytes, spermatids and spermatozoa by these mutagens. However, by treatment with MC or iPMS, spermatogonia underwent temporary or permanent inhibition of division and necrosis. The testes with inhibited spermatogonial division were small. Sperm abnormalities increased in the stage of spermatogonia, spermatocyte and spermatid after treatment with MC. However, mutagenic treatment with MC, MMS, iPMS or X-ray produced no measurable increase of sperm abnormality in spermatozoa after spermiogenesis. Unscheduled DNA synthesis (UDS) which reflects a repair of chemically damaged DNA was demonstrated in spermatocytes and spermatids treated with MMS, TMP or PC but not in those treated with MC. UDS after treatment with MMS or MC was not detected in spermatozoa which represent the most mature germ cell stage. The results of the present experiment indicated that the frequency of preimplantation loss of embryos in the dominant lethality test after premeiotic cell treatment with the mutagens was closely correlated with that of unfertilized eggs. The occurrence of unfertilized eggs seems to have principally resulted from oligospermia or azospermia due to inhibition of spermatogonial division or fertilization failure which had been caused by sperm abnormalities induced during the spermatogenesis of spermatids that developed from damaged spermatocytes. therefore, the preimplantation loss of embryos in the dominant lethality test by premeiotic cell treatment may be attributed to unfertilized eggs. the frequency pre- and post-implantation loss of embryos was closely correlated to that of one-cell embryos with chromosomal aberrations. It seems probable that one-cell embryos with chromosomal aberrations observed in the paternal chromosome sets reflected the cleavage failure in the very early stage of embryogeneis and thus be described as pre- and post-implantation losses. If unscheduled DNA synthesis should be interpreted as a repai of damaged DNA, any damaged DNA in spermatozoa of the most mature cell stage seemed unrepairable. There was no correlation between the frequency patterns of dominant lethality and unscheduled DNA synthesis in the male germ cell stage. These phenomena, dominant lethality and unscheduled DNA synthesis, may be considered to represent different levels of DNA responses when exposed to mutagenic agents. Chemical mutagens that induce a chromosome type of aberrations in paternal chromosome sets at the first cleavage metaphase by treatment of postmeiotic male germ cells tend to producd high rates of heritable translocations in F_1 offspring. On the other hand, chemical mutagens that induce a chromatid type of aberrations cause a low incidence of heritable translocations. It is postulated that the incidence of heritable translocations induced in F_1 offspring may be estimated on the basis of the type of chromosomal aberrations that occur at the first cleavage metaphase. Chromosomal aberrations produced in somatic cells by chemical agents and ionizing radiation are known to differ in that ionizing radiation provokes chromosomal aberrations regardless of treatment cell cycles, while chemical agents at any cell cycle provoke chromosomal aberrations to appear after first cell division. Chemical agents also induce mainly a chromatid type of aberrations. In this study, however, chemical treatment of postmeitic male germ cells produced chromosomal aberrations that differed from those seen in somatic cells and the chromosomal aberraions induced were mainly a chromosome type. This indicates the necessity of genetic assay using mammalian germ cells for preestimation of various human genetic defects by chemical substances. The chemical agents injected intraperitoneally into male mice was transferred into females by ejaculation during mating and caused retardation of tubal embryonic development or inhibition of intrauterine implantation of embryos. These phenomena indicate that the chemicals transferred by ejaculation into females do not exert a direct effect on embryos but disturb the physiological integrity of the endometrium which is required for proper implantation. The effects of ejaculation-mediated transfer of chemicals ought also to be taken into consideration in estimation of dominant lethality test results after injection into male mice of chemicals such as steroid hormones.Conclusion Cytogenic analysis at the first cleavage metaphase allows preestimation of dominant lethality and heritable translocation carriers produced among F_1 offspring. It is, furthermore, a simple assay technique for determination of heritable germ line effects of chemical mutagens.