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合金から成る水素化物の相分離状態は、複数の水素化/脱水素化サイクルを作用させても維持される可能性がある。この効果を非混和性のMg-Mnシステムにおいて金属水素化物を不安定化するために用いた。ここで、MgxMn1-x薄膜では、MgドメインとMnドメインがナノスケールで分離している。Mnが多い組成では、MgH2からの水素脱離圧力が所定の温度で上昇し、熱力学的に不安定化したことを示した。大きな熱力学的不安定化により、MgH2は室温でも水素を可逆的に吸蔵、放出することが可能となる。MgH2の不安定化に非混和性元素を使用する方法は効果的であり、高性能度、低コストの水素貯蔵および供給システムの開発の可能性に道を拓く。

正二十面体のAu-Al-Yb準結晶とその1/1近似結晶において室温でおよそ20GPaまでの準静水圧下における放射光X線回折測定を実施した。得られたそれぞれの圧縮曲線は類似しており、圧力に対して単調に減少する。これは高圧力下でこれらが安定であることを示している。得られた体積弾性率は準結晶で105.1(8)GPa、近似結晶で108.1(7)GPaであり、これらの値は基本的に各構成元素の体積弾性率の組成加重平均によって説明される。

自発的な電気分極の起源となるBi3+とBサイトの原子変位を示すペロフスカイト酸化物BiInO3とBiZn1/2Ti1/2O3の固溶体の研究を実施した。一定の体積減少での負の熱膨張を伴う極性を持つ直方晶から非極性の直方晶への転移をBiIn1-xZnx/2Tix/2O3のx ≤ 0.3の領域で観測した。AサイトのBi3+からBサイトのイオンへの電気分極の相対的なシフトは転移温度を低下させ、広い温度領域で温度ヒステリシスが抑制された負熱膨張の発現を可能にした。加えて、0.4 ≤ x ≤ 0.8の領域で見つかった強弾性を示す新しいLiNbO3型相は、非常に高いスイッチングひずみを特徴とし、ドメイン壁の移動度を高める可能性を示した。

The distribution of topological charges on X-ray vortices was measured by differential Fourier space filtering microscope, differential radial Hilbert transform microscope. It was experimentally verified for the first time using a Spiral Fresnel zone plate objective lens. This X-ray microscope is highly sensitive to X-ray topological defects, such as edges and vortices, at the exit-face wave field of objects. Its efficient use is also discussed.

V-Ti-Cr合金の水素の繰返し吸蔵放出能の劣化は僅かなNbの添加で劇的に改善するが、Nbの繰り返し耐久性への寄与は明らかではない。本研究ではNbの添加効果を明らかにするために、 V0.25Ti0.25Cr0.5H2と V0.25Ti0.25Cr0.45Nb0.05H2の水素吸蔵放出サイクルによる局所構造の変化をX線原子二体分布関数とEXAFSによって調べた。本研究によって水素吸蔵放出の繰返し過程で、転位によるひずみを低減させるために大きなTi原子が転位中心へ引きずられることが示唆された。これは、水素吸蔵に高い水素ガス圧が必要になるため転位近傍のTiが少ない領域が残ることになるが、NbはTiの偏析を抑制している可能性が高い。

薄膜は非常に有用な特性を示すことがあるが、その特性発現の理解は簡単ではない。それは構造情報が限られていることが一因である。MgリッチのMg-Tiのようなテクスチャを持つ材料に対しては特に構造情報を得ることが難しい。このような準安定の薄膜は通常の結晶構造解析では固溶体合金に見えるが、水素誘起の光透過特性は固溶体モデルでは説明ができない。本研究ではMg0.7Ti0.3薄膜の原子二体分布関数を水素化過程で測定し、Mgマトリクス中に30Å程度のTiH2クラスターが形成されることを明らかにした。これは以前に報告された化学的に分離をしているモデルを支持するものである。

Mgベースの遷移金属水素化物は安価で重量水素密度および体積水素密度が高いため、注目されている水素貯蔵材料である。しかながら、それらのほとんどは安定であり、適度な条件下で水素を放出することが困難であるという課題がある。我々は同じ立方構造のMg2FeH6とMg2Siで構成されるMg2FexSi1-xの水素化物を合成した。Siリッチの水素化物（x

スピン転移と金属間の電荷移動は物質の構造や物性を本質的に変化させることができる。しかしながら、これらの2つの効果が同時に発現することはない。我々はPbCoO3において高圧下でこれら2つの現象の前例のない実現を目指した。PbCoO3は常温常圧でAサイト、Bサイトの特異な電荷秩序を持つ絶縁体である。約15 GPaまでの加圧で、高スピンCo2価が徐々に低スピンに変化し、電気抵抗の大きさが増加する。15GPaから30GPaまでの圧力下ではPb4価とCo2価の間で電荷移動が生じる。電荷移動効果は、室温付近でおよそ20GPaの圧力で金属絶縁体転移と正方晶-I相への1次の構造相転移を引き起こす。さらに30 GPaを超える加圧で電荷移動が完了し、正方晶-II相への別の1次構造相転移とリエントラントな絶縁体化の挙動が生じる。

BiNi_1-x_Fe_x_O_3_の結晶構造、電荷分布、負熱膨張特性の研究を実施した。低温では極性を持ち、Bi3+_0.5(1+x)_Bi5+_0.5(1-x)_Ni2+_1-x_Fe3+_x_O_3_の電荷分布とBi3+/Bi5+の短距離秩序を示す。昇温過程における電荷移動による体積減少量は、Bi5+-Ni2+間の電荷移動に影響するFe3+への置換量xが増加すると減少する。しかし0.25

量子科学技術研究開発機構では、文科省のナノテクノロジープラットフォーム事業を受託して、大型放射光施設SPring-8に設置している専用装置の外部利用者の支援を行っている。そのうちの表面X線回折計、ダイヤモンドアンビルセル回折計、高温高圧プレス装置の3つについて、装置の概要と代表的研究例を紹介する。

惑星のコアの組成の多様性は、初期の太陽系におけるコア/マントルの進化と化学への知見を与える。地球物理データからコア組成を推測するには、コア形成材料の弾性特性の正確な情報が最も重要となる。 本論文です、液体Fe-Ni-S（17および30 at％S）およびFe-Ni-Si（29および38 at％Si）の高圧での音速と密度を測定し、圧力と組成の影響を報告する。

Nb19Ti40Ni41合金は、bcc-NbおよびB2-TiNi相の二相合金であり、熱アニーリング後、TiNiマトリックスに粒状のNb相が形成されることが知られている。圧延焼鈍していない合金とは圧延焼鈍した合金とでは、どちらにも粒状のNb相が存在していても、圧延焼鈍していない合金の水素透過性が高いことが知られています。 bcc-NbおよびB2-TiNi相の結晶方位関係は、圧延されていない焼鈍合金で観察されていますが、圧延焼鈍合金では特定の結晶方位関係は見られないことがわかった。

Au-Sn-Yb準結晶の合成に成功し、この準結晶において2価と3価との中間価数状態のYbが準周期配列するという系が実現していることを明らかにした。Yb価数はYb吸収端近傍のX線吸収分光測定により2.18価であることを決定した。これは、Au-Al-Yb準結晶に続く2例目の常圧で価数揺動状態の準結晶の発見である。

ペロブスカイト酸化物Bi1-xPbxNiO3 (0.6

In the present study, we have demonstrated recovery of metastable Fe-Mo alloy with bcc structure through novel hydride formation above 6 GPa and structural change from hcp to bcc with dehydrogenation reaction during depressurization at room temperature (RT)., IUCr High-Pressure Workshop 2021

AlとCoをモル比3:1で混合した粉末や赤外線集光炉で作製したAl13Co4合金を水素化すると、Al3TMHx型水素化物が合成できることが分かっていた。しかし、既知のAl5Co2合金やAl単体が複相として含まれ、水素量や結晶構造の評価が進んでいなかった。本研究では、出発物質の組成と作製方法、合成温度圧力を最適化することにより、Al-Co水素化物以外の不純物の生成の抑制を試みた。, 第61回高圧討論会

今回、Al13Ru4合金が9 GPa, 800℃の高温高圧下で水素化し、生成した水素化物が常圧下に回収できることを見いだしたので報告する。本成果をもとにAl-3d遷移金属水素化物とAl-4d遷移金属水素化物の安定化機構の比較が可能となり、これまでは合成困難と考えられていたAl合金水素化物の理解が深まると期待する。, 第61回高圧討論会

私たちは Fe-Mo合金が圧力6万気圧以上の高圧下で hcp 構造の水素化物を形成すること、そして、その水素化物が室温での減圧過程で水素を放出し、その結果生じた水素を含まないFe-Mo合金が、準安定な bcc 構造をとることを見いだしたので報告する。, 第61回高圧討論会

International audience; Spin state transitions and intermetallic charge transfers can essentially change material structural and physical properties while excluding external chemical doping. However, these two effects have rarely been found to occur sequentially in a specific material. In this article, we show the realization of these two phenomena in a perovskite oxide PbCoO 3 with a simple ABO 3 composition under high pressure. PbCoO 3 possesses a peculiar A-and B-site ordered charge distribution Pb 2+ Pb 4+ 3 Co 2+ 2 Co 3+ 2 O 12 with insulating behavior at ambient conditions. The high spin Co 2+ gradually changes to low spin with increasing pressure up to about 15 GPa, leading to an anomalous increase of resistance magnitude. Between 15 and 30 GPa, the intermetallic charge transfer occurs between Pb 4+ and Co 2+ cations. The accumulated charge-transfer effect triggers a metal−insulator transition as well as a first-order structural phase transition toward a Tetra.-I phase at the onset of ∼20 GPa near room temperature. On further compression over 30 GPa, the charge transfer completes, giving rise to another first-order structural transformation toward a Tetra.-II phase and the reentrant electrical insulating behavior.

我々がSPring-8において開発を行っているBragg-CDI法のBaTiO3ナノ結晶への適用状況について報告し、高度化を含む今後の展望について言及する。, 日本物理学会 第75回年次大会(2020年)

Al-Mn合金は他のAl-遷移金属合金よりも低い圧力で水素か可能であることが分かっている。発表者らはMnに水素化圧低減の効果があると仮定し、Al-Fe合金にMnを添加することで水素化圧を低減できるかを実験的に調べた。, 日本金属学会 2020年春期(第166回)講演大会

Al-Zr, Al-Hfの高温高圧水素化により、新規水素化物の探索を行った。Al2Zr3Hx, および、Al2HfHxの合成に成功した。反応過程の放射光その場観察結果や、水素放出プロファイルの測定結果を発表する。, 1st International symposium Hydrogenomics combined with 14th international symposium hydrogen & energy

We have developed an in situ gas‐loading sample holder for synchrotron X‐ray total scattering experiments, particularly for hydrogen storage materials, designed to collect diffraction and pair distribution function (PDF) data under pressurized hydrogen gas. A polyimide capillary with a diameter and thickness of 1.4 and 0.06 mm, respectively, connected with commercially available fittings was used as an in situ sample holder. Gas-leakage tests confirmed that this sample holder allows 3 MPa of hydrogen gas pressure and 393 K to be achieved without leakage. Using the developed in situ sample holder, significant background and Bragg peaks from the sample holder were not observed in the X‐ray total scattering patterns and their signal‐to‐noise ratios were sufficiently good. The results of Rietveld and PDF refinements of Ni powder are consistent with those obtained using a polyimide capillary (1.0 mm diameter and 0.04 mm thickness) that has been used for ex situ experiments. In addition, in situ synchrotron X‐ray total scattering experiments under pressurized hydrogen gas up to 1 MPa were successfully demonstrated for LaNi4.6Cu.

鉛系ペロブスカイト型酸化物であるクロム酸鉛PbCrO3 において，「電荷ガラス」という特異な状態が形成されていること発見した。放射光X線散乱実験により原子2 体分布関数（atomic pair distribution function, PDF）解析を行うことにより、複雑なPb イオンの短距離秩序配列を明らかにするとともに、それにより電荷ガラスが形成されていることを示した。

We are trying to synthesize novel hydrides through hydrogenation reactions of materials under high pressure above several gigapascals. Chemical potential of hydrogen increases at high pressures above 1 GPa. Such reactive hydrogen enables us to realize novel hydrogenation reactions of metals and alloys to form novel hydrides. We are trying to synthesize iron-containing complex hydrides and aluminum-based hydrides under high pressure. The hydrogenation reaction conditions were searched with the aid of in-situ synchrotron radiation x-ray diffraction measurement., Materials Research Meeting 2019

高Al組成のAl-Ti族系新規水素化物の合成を目的としAl-Zr焼結体,Al3Hf合金の高温高圧水素化を行った。Al-Zr系では目的とした水素化物は得られていないが、Al-Hf系では高Al組成と予想される水素化物の合成に成功した。, 日本金属学会2019年秋期(第165回)講演大会