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量子科学技術研究開発機構では、文科省のナノテクノロジープラットフォーム事業を受託して、大型放射光施設SPring-8に設置している専用装置の外部利用者の支援を行っている。そのうちの表面X線回折計、ダイヤモンドアンビルセル回折計、高温高圧プレス装置の3つについて、装置の概要と代表的研究例を紹介する。

AlとCoをモル比3:1で混合した粉末や赤外線集光炉で作製したAl13Co4合金を水素化すると、Al3TMHx型水素化物が合成できることが分かっていた。しかし、既知のAl5Co2合金やAl単体が複相として含まれ、水素量や結晶構造の評価が進んでいなかった。本研究では、出発物質の組成と作製方法、合成温度圧力を最適化することにより、Al-Co水素化物以外の不純物の生成の抑制を試みた。, 第61回高圧討論会

今回、Al13Ru4合金が9 GPa, 800℃の高温高圧下で水素化し、生成した水素化物が常圧下に回収できることを見いだしたので報告する。本成果をもとにAl-3d遷移金属水素化物とAl-4d遷移金属水素化物の安定化機構の比較が可能となり、これまでは合成困難と考えられていたAl合金水素化物の理解が深まると期待する。, 第61回高圧討論会

私たちは Fe-Mo合金が圧力6万気圧以上の高圧下で hcp 構造の水素化物を形成すること、そして、その水素化物が室温での減圧過程で水素を放出し、その結果生じた水素を含まないFe-Mo合金が、準安定な bcc 構造をとることを見いだしたので報告する。, 第61回高圧討論会

ギガパスカル(1万気圧)を超える圧力下で合成された高圧水素化物相は、例えばFeHxのように、室温での減圧過程で水素を放出し、金属が常圧相に戻るものもあれば、MoHxのように高圧水素化物相が準安定状態として常圧に回収できるものもある。金属元素に比べて水素の方が容易に拡散できることを考えると、減圧過程で水素を放出しても、金属格子が高圧水素化物相と同じ構造で、または、常圧相とは異なる準安定構造で回収することが可能となるかもしれない。私たちはFe-Mo合金が圧力6万気圧以上の高圧下でhcp構造の水素化物を形成すること、そして、その水素化物が室温での減圧過程で水素を放出し準安定なbcc構造をとることを見いだしたので報告する。, 日本金属学会 2020秋期第167回講演大会

Alに富む組成のAl-3d遷移金属を高温高圧下で水素することで、常温常圧下に回収可能なAl基金属水素化物が複数合成できることが明らかになってきた。これに対し、4dや5dの遷移金属を含むAl合金では水素化物が発見されていなかった。今回、Al13Ru合金が9 GPa, 650℃の高温高圧下で水素化し、生成した水素化物が常圧下に回収できることを見いだしたので報告する。, 日本金属学会 2020秋期第167回講演大会

我々がSPring-8において開発を行っているBragg-CDI法のBaTiO3ナノ結晶への適用状況について報告し、高度化を含む今後の展望について言及する。, 日本物理学会 第75回年次大会(2020年)

Al-Mn合金は他のAl-遷移金属合金よりも低い圧力で水素か可能であることが分かっている。発表者らはMnに水素化圧低減の効果があると仮定し、Al-Fe合金にMnを添加することで水素化圧を低減できるかを実験的に調べた。, 日本金属学会 2020年春期(第166回)講演大会

鉛系ペロブスカイト型酸化物であるクロム酸鉛PbCrO3 において，「電荷ガラス」という特異な状態が形成されていること発見した。放射光X線散乱実験により原子2 体分布関数（atomic pair distribution function, PDF）解析を行うことにより、複雑なPb イオンの短距離秩序配列を明らかにするとともに、それにより電荷ガラスが形成されていることを示した。

高Al組成のAl-Ti族系新規水素化物の合成を目的としAl-Zr焼結体,Al3Hf合金の高温高圧水素化を行った。Al-Zr系では目的とした水素化物は得られていないが、Al-Hf系では高Al組成と予想される水素化物の合成に成功した。, 日本金属学会2019年秋期(第165回)講演大会

ブラッグコヒーレントX線回折イメージング法（Bragg-CDI）法を国内で初めて導入し、BaTiO3ナノ結晶へ適用した。粒子形状、サイズ等がSEM像で見られるような形状に再現され、さらに内部情報も得ることができた。今回の一連の観測において、結晶粒によって様々な形状やサイズ分布（個性）があることが示された。, 第36回強誘電体応用会議

Al–Cr系水素化物の合成実験では生成物の再現性が乏しく、収率の向上が困難であり、物性の評価などを進められない状況であった。最近合成実験の再現性を向上することに成功し、Al–Cr系の研究に進展があったので、その状況を報告する。, 日本金属学会2019年春期(第164回)講演大会

放射線グラフト重合は、高分子基材の性質を保持したまま、新たな機能を付与できるのが特徴である。高温での使用が想定される高分子機能性膜の作製には、耐熱性や機械特性に優れたポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は、有望な基材膜となる。これまでの研究から、PEEK 基材膜を前処理：ジビニルベンゼン (DVB) 熱重合することにより、放射線グラフト重合が加速することが分かっている[1]。本研究では、DVB, ジオキサン(DOX) 及びDVB/DOX = 50/50 vol%混合溶液で前処理したPEEK 基材にスチレンスルホン酸エチル (ETSS)をグラフト重合し、前処理前後でのPEEK の結晶化度とモルフォロジー変化を調べ、DVB 前処理によるグラフト重合の加速効果のメカニズム解明を試みた。, QST高崎サイエンスフェスタ2018

我々はコヒーレントX線を利用したダイナミクス計測手法（光子相関法）を, 不均質（生体, 材料）系のメゾスコピックスケール領域のダイナミクスや外場応答状況を知る手段として利用したいと考えている。最近我々は, BL22XUに小角X線散乱のセッティングを導入し生体材料からどの程度の小角散乱が得られるか検討を開始した。X線エネルギーは8.7keVを用い, 試料としてポリエチレンナフタレートフィルム（1.5m厚）上に張り付けたラット乳腺の線維線種または腺がん試料（20m厚, 乾燥）を用いた。照射野を確定するために電顕観察等で用いられるグリッドを取り付けた。この結果, 両試料からの照射野を特定した散乱の取得が可能となった。得られた小角領域の散乱パターンから, それらの平均的な特徴として線維線種で異方的, 腺がん試料で等方的であるなど, いくつかの違いが見いだされた。さらに測定試料に対して染色＋顕微鏡観察を行い, 照射野にどのような組織（上皮組織, 間質）が含まれていたかを検討した結果, 得られた散乱は主に間質を反映したものであると推測された。間質はがん細胞の増殖を助ける働きがあると考えられているため, がん（悪性腫瘍）と良性腫瘍の間質の比較が本手法により今後可能となると期待される。さらに, 我々は同じ試料からコヒーレントX線を利用した（スペックル）散乱の取得も可能である事を確認した。これらの結果を踏まえ, 生きて活動している細胞試料のダイナミクス計測へ向けての方法論を確立してゆくことが急務である。, 第31回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム

本研究室では軽金属であるAlと3d遷移金属からなる金属水素化物の高温高圧合成に取り組んでいる。以前にCsCl型構造のAlCo合金が高温高圧下で水素化することを報告した。このAlCo合金水素化物で水素量が0.1wt.%以下と小さく、かつ、常温常圧では分解してしまう不安定なものであった。本研究では常温常圧下で安定でより高い重量水素密度を有する水素化物の合成を目的として、Al+Co(モル比5:2)混合粉末の水素化を試みた。, 「水素化物に関わる次世代学術・応用展開研究会」 第4回研究会

私たちの研究室では本来水素化しにくいAlに第4周期の元素を加え合金化することにより水素化を可能とさせることを試みている。2015年にCrが7つの水素と結合した錯体水素化物Mg3CrH8を形成することが報告された。Al-Cr系においても多配位の錯体水素化物ができる可能性があると考え、Al-Cr系水素化物の高温高圧合成の探索を行った。錯体水素化物の生成は確認できていないが、新規水素化物が合成できたので、その結果について報告する。, 「水素化物に関わる次世代学術・応用展開研究会」 第4回研究会

本研究室では水素の反応性が高まる高温高圧条件下において、軽金属であるAlを多く含む合金から新規金属水素化物の合成をおこなっている。今回は、AlとMnの合金であるAl8Cr5型構造を持つAl2Mnを出発物質として新規金属水素化物の合成をおこなった結果について発表する。, 「水素化物に関わる次世代学術・応用展開研究会」 第4回研究会

私たちは軽金属であるAl と3d遷移金属をからなる水素貯蔵合金の合成に取り組んでいる。これらの合金は従来の水素吸蔵合金の探索指針である「水素親和性の高い金属と低い金属の組み合わせ」には該当しない水素親和性の低い金属同士の組み合わせであり、水素吸蔵の報告は皆無であった。私たちは水素の反応 性が高まる高温高圧下でこれらの合金の水素化反応の探索と水素吸蔵合金の合成を行っている。本発表ではAl-Co水素吸蔵合金の探索の結果について発表する。, 第58回高圧討論会

軽量安価なアルミニウム系新規水素吸蔵合金の実現をめざして、Al-Cr混合粉末、および、Al-Cr合金の高温高圧水素化実験を行った。反応の様子を放射光その場観察し、反応条件の探索、反応機構の解明を試みた。, 応用物理学会関西支部 平成29年度第1回講演会 「マテリアルデザインとグリーンデバイスの最前線～関西発、イノベーションと若手研究者からの発信～」