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Japanese Brazilians’ attitude toward Japan and Japanese co-workers: A case study of Company D in Hiroshima

Authors :
Maemura, Naoka
前村, 奈央佳
Maemura, Naoka
前村, 奈央佳
Publication Year :
2012

Abstract

本研究の目的は,日本の職場において日系ブラジル人従業員が日本および日本人の同僚に抱く態度の決定因を模索することであった。1990 年の入管法改正以降,日系移民の子孫たちが職を求めて日本へやってくる,いわゆる「デカセギ」現象が急増している。日系移民も世代が進むと日本語を理解できない場合も多く,言語や文化の違いから,特に職場において様々なトラブルが報告されている。このような状況のもと,1990 年代後半からは在日日系人就労者に関する研究も注目を集め,主に関東・東海地域で事例が蓄積されてきた。本研究では,近年,南米を中心とした日系人が増加しつつある広島県東部地域でフィールド調査を実施し,主に,1) 日系ブラジル人従業員が職場で抱える問題,2) 滞在期間による日本人への態度の変化,3) 日本語能力が日本人への態度に及ぼす影響について検討した。D社に勤める日系ブラジル人従業員14 名(平均年齢30.77 歳,SD=7.31/ 平均滞在期間10.29 年,SD=3.59)に対して,日本語能力,日本人従業員への態度(イメージなど)について質問紙で評定を求めた。また、日本人とのトラブルやその対処方法,来日前後の日本(国)・日本人の印象の変化については,自由に記述させた。結果として,まず職場でのトラブルに関しては、日本人の上司の指示が理解できないといったような,コミュニケーションの不具合に関する回答が最も多くみられた。また,来日前の日本イメージはポジティブなものが多いが,来日後,職場で数々の困難を経験することにより,ネガティブに変化していく傾向がみられた。日系ブラジル人の日本語力と日本人への態度には負の関連性がみられ,日本語が流暢な人ほど日本人に対してネガティブなイメージを持ちやすかった。この結果は,一見矛盾しているように思える。なぜなら,日本語力の向上はコミュニケーション上のトラブルを減少させ,日本・日本人に対してむしろポジティブになると予想できたからである。そうならない理由としては,日本語力が高い=教育暦が高い日系ブラジル人は,日本人との労働条件や待遇の違いに不満を抱きやすく,日本イメージを悪化させやすいためと考えられる。また,言葉の問題が少ない場合は文化や価値観の違いがより強調され,そのギャップがネガティブな影響を与えている可能性もある。あるいは,日本語をよく理解できる日系ブラジル人ほど,日本人がもつ彼らに対するネガティブな評価に敏感であり,日本嫌いを助長してしまうのかもしれない。「ことばの壁」を越えた問題について今後も引き続き検討する必要がある。

Details

Database :
OAIster
Notes :
975312 bytes, application/pdf, English
Publication Type :
Electronic Resource
Accession number :
edsoai.ocn998865940
Document Type :
Electronic Resource