微小重力下における気相からの準結晶粒子成長に関する研究

ガス中蒸発法によりAl-Cu-Fe系準結晶微粒子を通常重力下および微少重力下で作製した。微粒子の平均粒径は、ガス圧力、蒸発源からの距離の増加とともに増加した。X線回折ピークから見積もった準結晶相の比率は、熱処理前の微粒子については、通常重力下および微少重力下ともにほぼ同じ値で、ガス圧力、捕集位置には依存していなかった。熱処理を施すと、通常重力下で得られた微粒子では、粒径の小さい粒子で準結晶の比率が低くなり、粒径の増加とともにその比率が増加した。熱処理前の準結晶相は準安定であり、また、小さい粒子では組成にむらがあり、粒径の増加とともに組成が均一化しているものと考えられる。微少重力下で得られた粒子では、熱処理によって準結晶相の比率は減少し、粒径依存性は見られなかった。微少重力下では対流が存在しないため、異なった時期に生成した微粒子同士の衝突が起こらないことが原因と考えられる。
NASDA Special Publication
宇宙開発事業団特別報告