A CASE OF PORTAL VEIN TUMOR THROMBUS WITHOUT LIVER METASTASIS AFTER SURGERY FOR COLON CANCER

症例は80歳,男性.2003年11月12日S状結腸癌の診断にて,S状結腸切除術を施行した(中分化型腺癌, S, 2型, 65×22mm,全周性, ss, P0, H0, M(-), ly1, v1, n1, D3, aw(-), ow(-), ew(-), curA, stage III a).術後補助化学療法として, UFT-Eを400mg/day内服していた.術後18カ月目に腹部膨満感が出現し当院に入院となった.高度貧血と低蛋白血症, CEAの上昇が認められた.腹部CTで,門脈塞栓,門脈の拡張および門脈周囲海綿腫状静脈叢,腹水,リンパ節腫大,腸管壁の浮腫が認められた.門脈塞栓は,門脈本幹から門脈臍部,右前区域枝,右後区域枝まで達しており, dynamic CTの門脈相で最も強く造影され,腫瘍塞栓と診断した.全身状態を考慮し化学療法も困難と考え,緩和的治療を行った. 2カ月後のCTで,腫瘍塞栓は増大し脾静脈まで達していたが,肝転移は認められなかった.S状結腸切除術から23カ月後,全身状態の悪化により死亡した.大腸癌由来の肝転移を伴わない門脈腫瘍塞栓の報告は少なく,若干の文献的考察を加えて報告する.