A case of hypoplasia of the left hepatic lobe

症例は66歳男性.胃部不快感を主訴に近医受診し,上部消化管内視鏡にて胃体上部の胃癌と診断され,平成10年12月9日に当院紹介となった.術前の腹部Computed tomography (以下CT)にて,肝左葉の欠損を認めた.血管造影では中肝動脈,左肝動脈は発達不良で,門脈造影では狭小化した門脈左枝を認めた.以上より,胃癌に合併した肝左葉形成不全と診断し,胃全摘,脾摘,胆摘,肝左葉切除を施行した.術中所見では, 9×2cmと低形成な肝左葉を認め,肝右葉は正常で肝表面肉眼所見は正常肝であり,肝転移はみられなかった.低形成肝を切除し病理学的に検索したのは本症例が初めであった.術中胆道造影では,左肝管は開存していた. 1984年以降で詳細の記載のある肝左葉形成不全について本邦報告例は25例認め,自験例を含めた26例について画像所見を中心に検討した.