Back to Search Start Over

Acute and Chronic Regulation of Monoamine Transporter Functions

Authors :
Imaizumi Y
Source :
Folia Pharmacologica Japonica. 116:101-106
Publication Year :
2000
Publisher :
Japanese Pharmacological Society, 2000.

Abstract

うつ病治療における抗うつ薬の奏効機転に関しては従来より多くの仮説が提示されているがいまだ確定的なものはない。我々は抗うつ作用解明の一助として、近年その分子実態が明らかになった抗うつ薬の主要な標的蛋白モノアミントランスポーターの調節機構を詳細に検討した。PC12細胞のノルアドレナリン取り込みは、Ca2+/カルモジュリン依存性キナーゼ(CaMキナーゼ)類によるノルアドレナリントランスポーター(NAT)の直接のリン酸化やリン酸化を介した細胞膜への移動(トランスロケーション)促進により急速に増加した。また長期的にもCaMキナーゼIIはCREBなどの転写因子のリン酸化を介してNAT遺伝子の発現を増大させ取り込みを持続的に促進することが明らかになった。以上のように、モノアミントランスポーター機能は近年、うつ病の発症機序への関与が推測されているCa2+やキナーゼなどの細胞内情報伝達系により短期的および長期的に調整される可能性が示された。一方、NAT遺伝子発現はノルアドレナリン選択性の高い取り込み阻害薬(抗うつ薬)の長期添加により抑制され、抗うつ薬慢性投与はモノアミントランスポーターの発現にも作用している可能性が示唆された。最近、セロトニントランスポーター(SERT)遺伝子の遺伝的多型と神経質等の性格傾向や感情障害との問に相関が報告されたこととも合わせて、モノアミントランスポーターを介するモノアミン神経伝達の変動の解析がうつ病・抗うつ薬の研究において再び注目を集めている。他方、既知分子のみに注目する研究では抗うつ薬の奏効機転の全体像を明らかにするには限界があるとも指摘されており、関与する蛋白質を未知分子も含めて幅広くスクリーニングしようという試みも行われている。本講演ではその一部も紹介したい。

Details

ISSN :
13478397 and 00155691
Volume :
116
Database :
OpenAIRE
Journal :
Folia Pharmacologica Japonica
Accession number :
edsair.doi...........297cfe693d0bcf59163887b09beb0bad