Effects of Elfazepam on Eating and Ruminating Behavior in Sheep

一定量の飼料を与えためん羊において,抗不安剤であるエルファゼパム投与が採食,反すう行動に及ぼす影響を検討した.3頭の去勢雄めん羊に4,8mgのエルファゼパムまたは溶剤(エチルアルコール)のみを2週間経口投与した.投与開始1週間後に,採食,反すう行動,飼料消化率および消化管のクロム通過速度を測定した.エルファゼパム投与は給与飼料が全て摂取されるまでの採食速度を増加させた.また8mgのエルファゼパム投与により,有意に粗繊維消化率が向上し,クロムの滞留時間が長くなった.一方反すう行動はエルファゼパム投与の影響を受けなかった.以上の結果から,エルファゼパムは満腹感を抑制し,採食速度を上昇させることが考えられた.またエルファゼパムは第一胃の運動性を低下させ,消化物の第一胃内滞留時間を増加することにより,粗繊維消化率を向上させると考えられた.しかしエルファゼパムにより第一胃の運動性低下および第一胃内消化物滞留時間の増加が生じても,反すう行動には変化が生じなかった.