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長期間にわたって食事,歩行,会話,セルフケアを拒絶した女児の 入院治療の経験 ─広汎性拒絶症候群(Pervasive Refusal Syndrome)の診断的意義と多職種連携に ついて.
- Source :
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Japanese Journal of Child & Adolescent Psychiatry . Sep/Nov 2020, Vol. 61 Issue 5, p105-124. 20p. - Publication Year :
- 2020
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Abstract
- 汎性拒絶症候群(PRS)は,長期間にわたる,飲食,歩行,会話,セルフケアの拒絶と,援助 への拒否による重篤な病態と定義づけられた稀な症候群で,前思春期の女児を中心に発症し,身体 的な重篤さと治療抵抗からしばしば長期の入院治療を要するとされる。 今回我々は長期間にわたって食事,歩行,会話,セルフケアを拒絶し,PRS と診断した11歳女 児の入院治療を経験した。まじめで完璧主義,対人的に受身であった女児が,前思春期における母 子分離をめぐる葛藤の高まりと学習面での行き詰まりから無力感を抱き,PRS に至ったと推測さ れた。児童精神科病棟において受容し,看護ケア,半強制的なリハビリテーション,個人・家族面 接など多職種間で連携し,女児自身の回復ペースを支持する治療が奏効し,徐々に拒絶は改善し自 発性を取り戻して退院した。その後食事量低下により再入院したが,拒絶は見られず最低限の体重 を保ち,母子分離,仲間関係の確立といった思春期の課題に取り組んでいる。 PRS は重度のストレスへの反応や,病前性格と成長に伴う内的変化による環境への不適応など に因るものと考えられ,独立した疾患というよりも,摂食障害,変換症,うつ病,カタトニアなど 様々な精神疾患と連続性のある,特殊な病態の一つと推測される。 「長期間にわたる,複数の領域における,意志を含んだ拒絶症状,治療抵抗」 という特異的な病 態をもつ PRS の概念と,適切な治療的介入について,児童精神医療の臨床家が理解しておくこと は有用と考えられる。 [ABSTRACT FROM AUTHOR]
Details
- Language :
- Japanese
- ISSN :
- 02890968
- Volume :
- 61
- Issue :
- 5
- Database :
- Academic Search Index
- Journal :
- Japanese Journal of Child & Adolescent Psychiatry
- Publication Type :
- Academic Journal
- Accession number :
- 151940190