Yuriko Koike, Takeshi Sodeyama, Atsuo Nagata, Seiichi Furuta, Masazumi Miura, Fumio Tsuda, Iku Ise, Yoshihiro Akahane, Kensuke Kamijo, Yooichi Suzuki, Makoto Mayumi, and Kendo Kiyosawa
経時的に経過を観察できた急性B型肝炎7例中3例の初期血清に凝集法によりHBe抗原を検出し,うち1例ではanti-HBeへのseroconversionを認めた.HBe抗原検出例と非検出例の間に病態,予後の面で差異を認めなかった.1.5~2年間経過観察したHBs抗原陽性慢性肝疾患ではHBe抗原陽性例にGOT, GPTの変動するものが多く,14例中10例では200Kuを越える増悪を認めた.anti-HBeが検出された15例中6例は最近2年間50Ku以下で推移した.5症例につき経時的に肝機能検査とともに凝集法によりHBV関連抗原抗体を測定すると,GOT,GPTの変動増悪に際してHBs抗原価,HBe抗原価も変動を示すが,その位相は必ずしも同じではなかった.またGOT, GPTの増悪を契機にHBe抗原が減衰消失する症例も見られた.又anti-HBeが高抗体価で持続する慢性肝疾患でもGOT, GPTが著明に変動する症例が存在することが明らかとなり,かかる症例の予後が注目された.