Shoji Natsugoe, Masamichi Baba, Kazusada Shirao, Mitsuhisa Sagara, Takashi Aikou, Heiji Yoshinaka, Toshitaka Fukumoto, Kazunobu Tokuda, Chikara Kusano, Shigeto Kimura, and Michiyo Asatani
胸部食道癌根治手術例で右開胸開腹, 頸部吻合, 胸骨後あるいは後縦隔経路再建の285例を対象とし, 再建術後の問題点と対策を検討した. 反回神経リンパ郭清を行わなかった1982以前の88例 (First Gr.) と, それ以降の197例 (Latter Gr.) の, 非再発死亡と再発例の生存率では, First Gr.で非再発死亡の生存率が再発例より有意に良好であった. しかし, Latter Gr.ではその有意差は消失し, 非再発死亡の66.7% (30/45例) は肺炎, 全身衰弱, 突然死であった. Latter Gr.の胸骨後再建80例と後縦隔再建117例では, 退院時の体重, 肺活量, 1秒量は後縦隔経路で有意にその落ち込みが少なく, 退院後3年の体重も良好に維持された. 術後3~5年経過例のアンケート結果でも後縦隔再建例で食物のつかえ感や誤飲, 腹痛, 息切れを訴える症例が少なかった. 消化器・呼吸器症状が少なく, 術後長期の栄養状態も良好な後縦隔経路は, 食道癌根治手術におけるfirst choiceの再建経路と考えられる.