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本稿では、製紙業界の新市場開拓に向けたイノベーションの効果について寡占市場を前提に理論的に捉え、新市場の拡大が企業の生産性・効率性にどのように影響するのか、大王製紙を例にしてシミュレーション・データによる実証分析を試みた。その結果、新市場の開拓は、長期的に製紙企業の効率性を向上させる効果があり、大王製紙のケースでは、2050年時点の効率性は、好景気であった1990年の効率水準に並ぶことが明らかになった。, This paper takes a theoretical view of the effect of innovation on the development of new markets in the paper industry, assuming an oligopoly market, and attempts an empirical analysis of how the expansion of new markets affects the productivity and efficiency of companies, using Daio Paper as an example, through simulation data. The results showed that the development of new markets has the effect of improving the efficiency of paper companies over the long term, and in the case of Daio Paper Corporation, the efficiency in 2050 is on par with the efficiency level in 1990, when the economy was booming., 特集 経済制度と社会秩序の形成に関する理論実証分析, Special issue: Theoretical and empirical studies on the evolution of economic institutions and social order, 論説(Article)

本稿はトランスログ型の一般化費用関数と確率的費用フロンティアモデルによる製紙業界の非効率性の推定を行っている。これらのモデルはともに推定式が複雑であり、計測が困難であった。こうした計測の問題を克服し、製紙業界における企業レベルの一般化費用関数から得られる生産要素の非効率性と、トランスログ型確率的費用フロンティアモデルから得られる各企業の非効率性の関係を明示したことが本稿独自の新規な成果である。, This paper estimates the inefficiency of the paper industry using a translog generalized cost function and a stochastic cost frontier model. Both of these models have complex estimating equations and are difficult to measure. This paper overcomes these measurement problems and clearly shows the relationship between the inefficiency of production factors obtained from the firm-level generalized cost function and the inefficiency of each firm obtained from the translog stochastic cost frontier model in the paper industry, which is a novel achievement of this paper., 森田雅憲教授古稀祝賀記念号(Honorable issue in commemoration of Prof. Masanori Morita's 70 years of age)

本稿は日本の製紙業におけるシェアや多角化がどの程度企業利潤率の決定因となっているかを検証するとともに、合併規制が必要となるような寡占化の弊害があるのかどうかについて同時方程式による計測やパネルデータを用いた分析により検討した。計測の結果、多くの企業でシェアと利潤率に統計的に有意に正の関係が得られた。また企業の様態に応じた多角化および特化の戦略が企業効率を高め、シェアの拡大と利潤率の上昇を導くことが先行研究の結果と合わせて推察することができる。, 論説(Article)

本稿では動学的要素需要関数を用いることによって,日本の製紙業における規模と範囲の経済性の企業レベルでの検証を試みた。計測の結果、規模の経済性は多くの企業で検証されるが、範囲の経済性については、中堅企業では大王製紙と北越製紙で、大企業では日本製紙でのみ有意な値となった。先行研究の効率性分析と合わせて考えれば,先の3社は先行研究において相対的に効率性が高い企業であることが検証されているため,費用効率化の実現には範囲の経済性の発揮が重要であることが明らかになった。, 論説(Article)