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飲酒歴毎日3合以上でかつ10年間以上服用している肝障害20例について,各種抗原を添加してLMTを施行した.その結果エタノール単独添加では20例中7例,エタノールと同種肝両者添加では19例中6例,同種肝単独添加では15例中5例,精製HB抗原添加では19例中7例が陽性であった.エタノール単独添加およびエタノールと同種肝両者添加のいずれか,あるいはともにLMTが陽性であった10例では,全例肝機能検査成績は異常値を示し,5例は1日1升以上の多飲者であり,肝組織像では4例は亜小葉性肝硬変であった.HB抗原陽性の大酒家の肝障害5例では,全例HB抗原添加によりLMT陽性を示したが,エタノール添加によりLMT陽性を示したものは2例にすぎなかった.以上の成績より,いわゆるアルコール性肝障害の進展機序に一部の症例ではエタノールおよび精製HB抗原が細胞性免疫の形で関与する可能性があると推測された.

飲酒歴のみられない慢性肝障害36例(A群),大酒家の肝障害19例(B群)について,エタノールおよび精製HBsAg添加して白血球遊走阻止試験を行なった.エタノール添加によりLMT陽性を示したものは,36例中16例であり,とくにHBsAg陽性の慢性肝炎活動型,小葉改築傾向を伴う慢性肝炎活動型,非代償性肝硬変では陽性率は高値を示した.B群では19例中11例がLMT陽性を示し,亜小葉性肝硬変では4例全例がLMT陽性であった.大酒家の肝障害では,HBsAg陽性群の方が,陰性群より,精製HBsAg添加によりLMT陽性を示す症例が多くみられたが,肝病変の進展度にしたがって高値をとるとはいえなかった.以上の成績より,飲酒歴の著明でない活動性の強い慢性肝障害および大酒家の肝障害の一部の症例では,エタノール,精製HBsAgに対する細胞性免疫異常状態が成立しているものと推測されたが,病因論的については,今後の検討が必要である.

各種肝疾患患者の肝特異抗原(Lpfr II)および精製HBs抗原に対する細胞性免疫について検討した.肝特異抗原(倉田らの方法)と精製HBs抗原を添加抗原としてSobφrgらの方法で,各種肝疾患49例を対象に,白血球遊走試験(LMT)を行なった.LPfr II添加時のLMT陽性率は慢性肝疾患で41%であり,慢性化の程度にしたがって高くなる傾向を認め,血清HBs抗原陽性例の方が各疾患のなかではより高率であった.急性肝炎,HBs抗原carrierは全例陰性であった.HBs抗原添加時のLMT陽性率は慢性肝疾患で36%であり,かならずしも慢性化の程度にしたがって高率になるとは言えなかった.肝特異抗原添加時のLMT陽性例中,何らかの形でHBs抗原と関連していると考えられるものが81%をしめた.以上の成績より両抗原は細胞性免疫の形で肝疾患とくに慢性肝病変と関連を有していると推測された.また肝特異抗原をアフィニテークロマトグラフィーを用い単離することができたのであわせて報告した.

An attempt was made to find reliable indices for early diagnosis of fatal cases of acute viral hepatitis, using the values of serum proteins with rapid turnover. Of the subfractions of serum protein, prealbumin, alpha2-HS-glycoprotein and Normotest were measured simultaneously before the appearance of hepatic coma/or gastrointestinal bleeding in 78 cases of acute viral hepatitis, verified by biopsy or necropsy. The mean value of prealbumin with a very short half-life of one or two days, was 6.0 mg/dl in fatal cases, 7.4 mg/dl in surviving ones of subacute form of fulminant hepatitis. The difference between fatal and surviving cases was not statistically significant. In contrast to this, the values alpha2-HS-glycoprotein with a comparatively short halflife of four to six days, showed statistically significant difference between fatal (21.9 mg/dl) and surviving cases (37.4 mg/dl). Normotest was also depressed in fatal (10.7%) and surviving cases (45.3%). The difference was statistically significant. The present results indicate the possibility of differentiating fatal cases from surviving ones at an early stage, using the reduction of alpha2-HS-glycoprotein and the value of Normotest.