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従来, 飛騨外縁帯の分布・区分などには多くの混乱と問題があったため, その発達史を議論する上で大きな障害となっていた. 従来飛騨外縁帯として扱われてきた地層・岩体は, 岩相とその占める空間的位置により, (1) 中～上部古生界浅海成層を主体とする地層群 (宇奈月帯構成岩類を含む), (2) 300Ma以前の変成岩を含み, 苦鉄質～超苦鉄質岩を主体とするもの, (3) 後期古生代の石灰岩・チャート・砕屑岩主体層, (4) 苦鉄質岩とペルム系砕屑岩, の4つに大別される. 後三者は, それぞれ三郡—蓮華帯, 秋吉帯および舞鶴帯に帰属を求めることができ, 本論では (1) の分布域を飛騨外縁帯として再定義することを提案し, その模式地は福地・本郷・古川地域とする. 本論の飛騨外縁帯構成岩類は, 宇奈月, 白馬岳, 福地・本郷・古川, 〓谷, 石徹白, 朝日, 伊勢・大野の各地域に分布し, それらは各地域内で断層もしくは剪断帯で寸断されてブロック化している.

岐阜県丹生川村横尾地域より, 泥岩, 砂岩と珪長質凝灰岩とを主体とするペルム系を見い出した.本層は, 従来, 異地性岩塊を含むメランジュを主体とするジュラ紀付加体の美濃帯駄吉層に含められることもあったが, 駄吉層より分離し, 十二ヶ岳層として再定義する.十二ヶ岳層は, 著しく破断された砂岩泥岩互層からなる下部層と, 珪長質凝灰岩泥岩互層を挟む砂岩泥岩互層からなる上部層とに区分される.上部層の珪長質凝灰岩泥岩互層は, ペルム紀新世前期を示すFollicucullus charvetiをはじめ, ペルム紀の放散虫化石を多産する.十二ヶ岳層は主にその岩相層序, 産出化石, 堆積時代に基づき, 超丹波帯の大飯層に対比される.従来, 中部地方では福井県南条地域を除いて, 超丹波帯構成層に対比される地層の報告は無い.しかし今回の発見は, 超丹波帯構成層に対比される地層が美濃帯北縁部に沿って, 断片的に存在する可能性を示唆する.

This paper briefly describes the geology of southern Sikhote-Alin of Russia and the Inner zone of Southwest Japan, and presents a new correlation model in which the Samarka terrane (sensu stricto), Udeka Formation, Sebuchar Formation and Kalinovka ophiolite in Sikhote-Alin are considered as northern extensions of the Mino-Tamba terrane, Hikami Formation, Kozuki Formation, and Yakuno ophiolite in Southwest Japan, respectively. This correlation is based on the similarities in lithology, age, faunal assemblage, and structural relationship between them. The Samarka and Mino-Tamba terranes consists of Jurassic accretionary complexes including Permian greenstone-limestone complex, Permian to Lower Jurassic radiolarian bedded chert, Jurassic clastic rocks, and Jurassic melanges. The Udeka and Hikami formations are composed mainly of greenish gray sandstone with minor shale intercalations yielding Permian radiolarians. The Sebuchar and Kozuki formations are characterized by basalts accompanied with shale, limestone and chert. The limestone includes Carboniferous fusulinaceans, while Permian radiolarians occur in the chert. The Kalinovka and Yakuno ophiolites consist of a series of ultramafic to mafic igneous rocks with an ophiolitic succession. Since the ages of these ophiolites have not been clearly established, we correlate them on the basis of their lithology and tectonic positions. These units form a stack of nappes from the lower to upper horizons in the following order: Mino-Tamba terrane, Hikami Formation, Kozuki Formation, and Yakuno ophiolite in Japan, and Samarka terrane (sensu stricto), Udeka Formation, Sebuchar Formation, and Kalinovka ophiolite in Russia. This correlation supports the reconstruction model of Japan before the opening of the Sea of Japan proposed by Yamakita and Otoh (1999).

美濃帯南部の尾崎-雨池地域と飛水峡地域の三畳紀層状チャートには, まれに, 砕屑岩層が挟まれる.砕屑岩層の上部と下部のチャートから取り出した放散虫は, 砕屑岩の堆積年代が, 尾崎地域ではCarnian前期, 雨池地域ではLadinian中期とCarnian前期, 飛水峡ではAnisian後期～Ladinian前期であることを示している.これらの年代はAnisian後期～Carnian前期に集中しているが, 全く同じ層準ではない.含まれる砕屑粒子の種類は, チャート・珪質頁岩・塩基性ないし中性火山岩・変質した火山ガラス・多結晶石英・ドロストーン・海緑石様鉱物(シデライトを伴うことがある)・ルーテサイト・アパタイト・放散虫・コノドントなどである.全ての砕屑粒子の起源を満足する単一の後背地を想定することは困難であるが, 後背地の候補としては, 海洋島・島弧・陸棚・より古い付加体などが考えられる.

A Campanian (upper Cretaceous) radiolarian asemblage containing two new species is described from a reddish brown shale clast in a Paleogene breccia formation in the Karangsambung area, central Java, Indonesia. The occurrence of some species typically found in low paleolatitudes strongly suggest s that the radiolarians were deposited in a tropical ocean. On the other hand, coeval Campanian radiolarian assemblages from the blocks in the Luk-Ulo melanges, which unconformably underlies the Paleogene breccia formation, are lacking in the “tropical species” obtained from the clast in the Tertiary cover. The faunal difference indicates that the Campanian Radiolaria-bearing siliceous rocks in the Luk-Ulo melanges and Paleogene formation were deposited in different paleolatitudes and juxtaposed before the deposition of the Paleogene rocks.

我々は, 2001年7月末から8月中旬にかけて北西インド, ラダックヒマラヤのインダス縫合帯沿いの地域で予察的な地質調査を行った. 現地は標高4,000-5,000mの乾燥地域で, 岩石の露出も良く, 高度障害にさえ気をつければ地質調査には都合のよい地域である. 調査地域には, 北東から南西へ(1)カラコルムブロックを構成する深成岩類, (2)シュヨク縫合帯構成岩類, (3)ラダック深成岩類, (4)インダス縫合帯構成岩類, (5)ソモラリ変成岩類, (6)ザンスカール堆積岩類が分布する. (3)はパキスタンのコヒスタンアークを構成する岩石の東方延長と考えられており, 110-22Maの様々な種類の火成岩からなる. (4)はカルギル層, インダス層, ニダールオフィオライト, ジルダットオフィオライトメランジュからなる. ニダールオフィオライトは, 超塩基性岩・はんれい岩・玄武岩・チャートなどからなり, 典型的なオフィオライト層序を示す. ジルダットオフィオライトメランジュは, 玄武岩・チャート・石灰岩などのブロックを含むメランジュである. (5)はインド亜大陸の上の陸棚相堆積物が変成作用を被って形成された変成岩や花岩類であり, (6)おかはその非変成相である. 今回の予備調査では, (3)-(5)の分布域を概査することができたので, そこに見られる地質の特徴を速報する. なお, 第2～5図の写真撮影地点は第1図に示されている.

飛騨外縁帯北東部の白馬岳地域にはペルム系白馬岳層が分布する. 白馬岳層は従来から言われていたようなメランジュやオリストストロームからなる付加体ではなく, 火山弧周辺の浅海で堆積した珪長質火砕岩類を主とする整然層である. 白馬岳層下部層形成時では珪長質火砕岩の堆積を主とするが, 下部層の上部形成時には玄武岩の水中噴火が生じ, バイモーダルな火山活動がみられる. 中部層形成時では, 火山活動が沈静化し頁岩や砂岩が堆積した. 上部層形成時では再びバイモーダルな火山活動が始まり, かつスランピング又は斜面崩壊によって石灰岩角礫や岩塊が珪長質凝灰角礫岩とともに堆積した.白馬岳層は角閃岩岩塊を含む蛇紋岩に衝上断層で覆われ, 蛇紋岩の構造的下位に位置する. その後NW-SE方向とNE-SW方向の高角度断層の形成に伴って, 古生界岩塊を含む蛇紋岩メランジュが形成された.