1988年より1995年までの8年間の1,180例の乳癌症例中, 非浸潤癌は76例 (6.4%) で, 石灰化を伴った乳管癌22例について検討した。年齢は検診機会の多い40歳代が最も多かった。部位は外上が14例と最も多く, 次に内上6例であった。症状は腫瘤10例, 乳頭分泌3例で, 検診で発見された症例が8例 (36.4%) みられたが, 非浸潤癌の石灰化のパターンを孤在型7例, 散在型6例, 密集型4例, び漫型5例の4型に分類すると, 検診で発見された症例のほとんどは孤在, 散在型であった。診断法別では, MMGではすべて癌と診断されているが, 触診で7例 (31.8%) は異常を認めていなく, 特に孤在, 散在型では約半数を占めていた。超音波でも同様で47.6%に異常を認めていなく, その大部分は孤在, 散在型であった。しかし小strong echoが多数見られるという特徴が見られた。手術法でPateyが27.2%, Halsted以上が13.6%もあり, またR2の郭清が81.9%にも行われていた。特に密集, び漫型で著明であった。病理組織学的には, 孤在型で管内進展なしの症例が半数以上占め, またnon-comedo typeが28.6%見られた。リンパ節転移は1例も見られなかった。以上より, 石灰化, 超音波像より非浸潤癌が疑われた場合, 生検などで確認し, QOLの観点からもover surgeryを避けなければならない。