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大阪府内に点在する水中及び沿岸部遺跡とその関連文化財の概要を把握するため、淀川流域及び一部沿岸部で分布調査を実施した。遺構は確認できなかったが、弥生時代～近世の遺物を採集し、現況の包蔵地外にも散布地が広がることが分かった。 あわせて、近世初期に城郭普請等のため水運で運搬されたが、転落・放棄等により水中や沿岸部に分布していた石材について、陸上に引き揚げられたものを関連文化財とし、分布調査を実施した。

本書は、宮園遺跡において行われた発掘調査の成果を報告するものである。前書に引き続き、当遺跡における2冊目の報告書となる。 調査では古墳時代から近世までの遺構を検出し、当地における土地利用の変遷を把握することができた。そのうちの主たる成果は、前書で報告したものと同様に中世を中心とする粘土採取土坑群の検出である。今回の調査でも使用痕を認めない瓦質土器生産の可能性を高めた。土坑から完成品の瓦器椀が出土したことも注目される。 また、花粉分析や珪藻分析といった自然科学分析の結果により、泉北丘陵の縁辺部における環境変遷について基礎資料が得られた。今後、周辺遺跡における自然環境と人為の相関を把握するうえで貴重な調査事例となろう。 そのほか、今回の調査で検出した遺構・遺物をものに、近隣における遺跡の変遷などについて考察を行った。

本書は、福井城跡B地点において行われた発掘調査の成果を報告するものである。 調査では鎌倉時代から室町時代の遺構を検出し、当地における土地利用の変遷を把握することができた。 特に15世紀前半の火葬土坑を検出し、墓域として機能していたことを明らかにした。 そのほか、今回の調査で検出した遺構・遺物をもとに、近隣における遺跡の変遷などについて考察を加えた。

本書は、上垣内遺跡において行われた発掘調査の成果を報告するものであり、当遺跡における3冊目の報告書である。 調査では古墳時代から近世までの遺構を検出し、当地における土地利用の変遷を把握することができた。そのうちの主たる成果は、方墳周溝となる可能性がある古墳時代中期の溝を検出したことである。また、中世後期における堀状遺構や井戸の検出も注目される。そのほか、近世の窯遺構についても報告する。

本書は、久宝寺遺跡において行われた発掘調査の成果を報告するものである。 調査では、古墳時代前期の水田跡、古墳時代中・後期の土坑など、平安時代の屋敷地を囲むと考えられる壕とそこに投げこまれた大量の黒色土器を検出した。 当地における土地利用の変遷並びに平安時代の集落の様相を把握することができた。 特に、第2面で検出した屋敷地を囲む壕とされる溝は、間を無遺物層を介在し上下二層に分かれ、下層は黒色土器A類だけを包含し、上層は黒色土器A類・B類をともに包含することが確認された。

Ａ・Ｂ・Ｃ区では中世の粘土取りと考えられる土坑や溝、古墳時代前期後半～中期初頭の竪穴建物を検出。Ｄ・Ｅ区では平安時代の複数の掘立柱建物や土坑、溝等からなる集落域を検出。

宮町遺跡は、平成15年度の試掘調査で発見された遺跡で、今回が始めての本調査である｡調査によって２面の遺構面を確認した｡上面で中世以降の正方位の耕作溝群、地山面で中世の耕作溝、古代の集落、古墳時代の集落と古墳を検出した｡ 調査区の東側は、微高地となっており、そこに集落と古墳が立地する｡まず、古墳時代に墓域として土地利用される｡古墳は、小形の円墳と方墳が重複して確認できた｡その後、整地がなされて集落域となる｡土坑や溝などのほか、多くの柱穴が検出され、５棟の掘立柱建物が確認できた｡掘立柱建物の時期は、明確ではないが、古墳時代から奈良時代におよぶと考えられる｡そして、中世以降には耕作によると考えられる溝が検出され、生産域になる。

弥生時代中期後半の竪穴住居を検出し、集落域の一端を確認した。 弥生時代後期後半から古墳時代初頭の竪穴住居4 棟及び掘立柱建物3 棟、土坑などを検出し、集落を確認した。 旧河川敷及び埋没河川上に古墳時代中期、後期、終末期の断続的な墓域を確認した。

2009 年度の発掘調査で出土した多量の瓦破片が、東大寺の鎌倉時代初期の再建用瓦であること、そしてそれらを安松田遺跡で生産していたことは、翌年度刊行の報告書作成過程でほぼ明らかにできていた。ただ、瓦窯自体は発見に至っていなかったので、2015 年度より国庫補助事業としてトレンチ調査および物理探査により瓦窯の所在を追及した。 さらに関連遺跡の資料の比較検討、瓦の胎土分析（薄片観察法、蛍光Ｘ線分析）などを通じて、東大寺再建用瓦としての安松田遺跡出土の瓦の位置付けを明確にした。 本書は、2015 年度から4 ヶ年度にわたり国庫補助事業として実施した安松田遺跡に係る重要遺跡確認緊急調査の事業内容と成果の報告である。

縄文時代～近世まで続く複合遺跡。中世の耕作関係の遺構が認められた。縄文時代の土坑が検出され、中から焼けた人骨片が多数出土したことが特出される。

本書では、宮園遺跡において行われた発掘調査の成果を報告するものである。 調査では古墳時代から近世までの遺構を検出し、当地における土地利用の変遷を把握することができた。そのうちの主たる成果は、中世を中心とする粘土採取土坑群の検出であり、そこから出土した使用痕を留めない瓦質土器は、近隣における瓦質土器生産を推測させるものである。 また、花粉分析や種実同定といった自然科学分析の成果により、泉北丘陵の縁辺部における環境変遷について基礎資料が得られた。今後、周辺遺構における自然環境と人為の相関を把握するうえで貴重な調査事例となろう。 そのほか、今回の調査で検出した遺構・遺物をともに、近隣における遺構の変遷などについて考察を加えた。

大町遺跡は岸和田市の北部に位置する。府営岸和田大町住宅の建て替えに伴ってこれまで４ヵ年度にわたり発掘調査を実施し、古墳時代前期の工房跡や弥生時代後期～古墳時代前期に埋没した複数の河道を検出した。 本書の２ヵ年度の調査でも、古墳時代初頭の河道を検出したほか、弥生時代中期後葉の遺物廃棄土坑、平安時代～鎌倉時代前半期の水田跡、鎌倉時代後半期以後に営まれた畠地など、これまでの調査で検出されなかった時代の遺構が見つかった。 河道の１条では、投棄されたとみられる庄内式期の土器がまとまって出土した。器種には高坏、鉢、台付鉢、甕、壺がある。 遺物廃棄土坑からは土器のほか、石庖丁、石剣の基部、砥石なども出土した。

縄文時代早期の押型文土器が出土した。奈良時代の土坑が検出され、須恵器壷が出土した。平安時代～鎌倉時代の瓦が出土し、寺院の存在が推定された。

本遺跡は、北北西にのびる二条の埋没微高地上に立地する縄文晩期の集落遺跡である。遺構は、住居と考えられるピット群や土器棺、石器製作跡であるサヌカイト集中部等がある。遺物は、縄文土器と打製石器のほか、凹石や敲石、有溝砥石、磨石等が出土した。

太井遺跡で縄紋時代後期前～中葉の土器が出土した。奥田井遺跡・太井遺跡で中世以降の水田開発の実態を確認した。

都市計画道路和泉中央線のJR阪和線から穴田交差点までの区間で調査を実施した。調査地は府中、豊中、板原の3遺跡が接して存在する。調査では、縄文時代の土坑、弥生時代の土坑、古墳時代の掘立柱建物、溝、土坑、鎌倉時代から室町時代の屋敷地区画溝、柱穴、井戸、土坑を検出した。遺物は縄文時代前期、中期、後期の土器、弥生時代中期、後期の土器、古墳時代の土器、中世の瓦器、羽釜等が出土した。

江戸時代を通じて存在した後北条氏を藩主とする狭山藩陣屋跡の北端部の調査。

芹生谷遺跡は、河南台地の最奥部に位置する遺跡である。今回の調査で出土した遺物を古い順にみると、サヌカイト片、古墳時代後期の須恵器、中世の土師器、瓦器、陶器である。サヌカイトは、前回の調査でも石槍が出土しているので、縄文時代に属するものと思われる。須恵器は、金山古墳の築造ごろのもので、古墳の築造に伴って人間活動が活発になったことをあらわしている。中世の土器は、13世紀代のものと考えられる。河南台地一帯に広がる南北方向の条里区画がどの時期に成立したかは、今後の課題であるが、芹生谷遺跡の今回の調査地周辺では13世紀代には集落は成立していたと考えられる。

金岡高校の体育館やプールの周囲にある下水管入れ替え工事に先立つ管路・立坑部分のみの発掘調査である。調査区が小さく、あるいは細長く、遺構の全体の様子はよくわからなかったが、飛鳥時代や奈良時代の遺構を検出し、須恵器・土師器などの遺物が出土した。

和泉寺跡は、瓦の出土や周辺の地割から古代寺院跡と推定されてきた遺跡であるが、これまで調査はあまりなされておらず、詳細は不明である。今回の調査地点は推定寺域外であり、寺院に関わる遺構の検出はなかったものの、瓦の出土から、寺院の存在を裏付けることができた。 府中遺跡は広範囲にわたる遺跡で、これまで多数の調査が行われ、縄文時代から近世にわたる遺構、遺物が確認されてきた。今回の調査地点は遺跡範囲の東端にあたり、既往調査事例の少ない箇所である。中世の掘立柱建物や耕作溝を検出し、調査地全域が居住域や生産域として利用されていたこと、時期により土地利用のあり方が変化することが明らかとなった。また、自然流路から多数の弥生時代から古墳時代の土器が出土したことから、住居跡等の検出はないものの、周辺に居住域の存在を推定できることとなった。

古代の遺構面を確認し、須恵器の出土をみた。また1973・74年度の調査で検出された掘立柱建物群等の遺構群の正確な位置を知ることができ、平尾遺跡を再検討する材料を得た。

寺田遺跡は、平成14 年度に発見された遺跡である。今回の調査区は、古墳時代集落の中心から縁辺にかけての地域を対象としており、調査の結果、多量の遺物が出土したことに加え、その集落構造が概ね明らかとなった。さらに下層の調査により、弥生時代後期以降の河川活動がこれらの景観を左右していることが判明した。

古墳時代前期相当層（第5遺構面）から近世相当層（第1遺構面）までの遺構面5面確認した。第5遺構面では、溝、土坑、小穴を検出した。第3遺構面では、人の踏み跡痕を検出した。第1遺構面では、溝を検出した。条里の坪境・道路状遺構である可能性が高い。

太井遺跡小深地区の調査では南北朝時代の掘立柱建物跡と土器などが発見された。太井遺跡太井地区の調査では鎌倉時代後期～南北朝時代の中世墓群が発見され、土器などが伴った。太井遺跡小深地区・太井地区では縄文時代中期後葉の土器が出土した。

招提中町遺跡では、近世の生産域を検出した。 九頭神遺跡では、弥生時代後期の竪穴住居を検出した。 当該地周辺では、これまで招提中町遺跡で弥生時代中期や古墳時代前期の集落が確認されているが、弥生時代後期の集落は確認されておらず、この結果、当該地では少なくとも弥生時代中期から古墳時代前期まで、連続して集落が営まれていたことが判明した。

調査地の北端部付近で、竪穴住居、方形周溝墓、井戸、土坑、溝などからなる弥生時代中期の集落が検出され、弥生土器、石器、木器などが出土した。 調査地のほぼ全域で、大壁建物、竪穴住居、掘立柱建物、井戸、土坑、溝などからなる古墳時代中・後期の集落が検出され、須恵器、土師器、須恵器系土器、韓式系土器、製塩土器、U字形板状土製品、移動式カマド、石製品、木製品、馬骨などが大量に出土した。蔀屋北遺跡では、これまでに古墳時代中・後期の遺構・遺物が大量に検出され、初現期の河内の牧の様相の一端が明らかになったが、今回の調査では、これらを補填する成果が得られた。

和泉寺跡は、瓦の出土や周辺の地割から古代寺院跡と推定されてきた遺跡であるが、これまで詳細は不明であった。今回、推定寺域内南東部から推定寺域外にかけての調査を行い、寺域外で、奈良時代の土坑、溝を検出した。土坑からは多数の瓦が出土し、軒丸瓦、軒平瓦、鴟尾、熨斗瓦のほか、和泉寺跡では初となる文字瓦も出土した。文字瓦は遺構外も含め計５点出土、このうち２点には古代氏族の人名が刻まれており、寺院建立に関わりをもった氏族が明らかとなった。 府中遺跡は広範囲にわたる遺跡で、これまで多数の調査が行われ、縄文時代から近世にわたる遺構、遺物が確認されてきた。今回の調査地点は、既往調査事例の少ない遺跡範囲東端部分であり、弥生時代から古墳時代の柱穴や、中世の掘立柱建物、耕作溝等を検出した。弥生時代から古墳時代の居住域、中世の居住域や生産域が判明し、土地利用の変遷が明らかとなった。

交通安全事業に伴う発掘調査

寝屋川市の東南部の丘陵部において古墳時代後期の集落の一部を発見。

弥生時代～近世まで続く複合遺跡。古代～近世にかけては耕作地関係の遺構が認められた。また古墳時代前期においては、西接する加美遺跡で確認されている水田耕作域が本調査地でも認められ、当該期における耕地開発の面的な広がりをとらえることができた。さらに弥生時代中期に属する方形周溝墓のマウンドの流出土と考えられる高まり、および当該期の畦畔、溝等の遺構の存在からは、周辺での調査成果も合わせ、方形周溝墓とその周囲に広がる水田耕作域という景観の復元にとって重要な知見を得ることができた。

長原遺跡で平成25年度時点で219基の埋没古墳が発見されており、今回発見の古墳は、分布の南東端地域での発見であり、分布範囲を考える上で重要。 棺釘、鉄族、埴輪片等が、飛鳥時代から中世の遺物と共に出土しており、一部で飛鳥時代に古墳の破壊が始まった可能性がある。

古墳時代 古墳時代初頭から前期の水田跡を検出。弥生時代には河川堆積である砂層が形成され、古墳時代以降、この砂層上が開発される。 古代〜中世 溝・柱穴を検出し、集落周辺の耕作地として利用。

平成14年度から平成17年度までは道路の拡幅用地で延長約250m、幅約10ｍ、平成18年度は立体交差工事用地で、延べ面積約3335㎡を調査した。 縄文時代で中末期の土器集積遺構や炭集積遺構、焼土、縄文時代後期・晩期の土坑を検出した。弥生時代では前期頃の河道や中期の方形周溝墓を5基検出し、周溝から多数の供献土器が出土した。弥生時代後期から古墳時代では溝や土坑を検出した。

中世から現代にいたる粟ヶ池東堤を確認した。 また、中世の溝も確認した。

史跡金山古墳の立地する河南台地の開発を示す古墳時代後期の土坑や柱穴が検出された。 条里地割の成立と変遷、耕地の開発を示す古代から中近世の遺構が検出された。