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電子衝撃による陰イオン質量スペクトルについて検討した.陰イオン強度はきわめて弱いのでイオン源にはGiese型,イオン電流の測定には2次電子増倍管を用いた.電子加速電圧140eVでガスだめの中の試料圧が約50μHg以下の場合,イオン強度は試料圧に比例した.このような条件下で,無機ガス類,炭化水素類,アルコール類,エステル類,アミン類,メルカプタン類などの陰イオン質量スペクトルを測定した.この結果,電気陰性度の強い原子を含むフラグメントイオンは,ほかのイオンより感度が高く,特徴のある質量を示すからその存在の確認および識別は容易であった.反面同じ官能基をもつ有機化合物のスペクトルは互いによく似ているので,個々の化合物の同定は困難であった.陰イオン質量スペクトルによる混合ガスの分析は陽イオン質量スペクトルの場合と同様になしうることがわかった.

都市ガス,天然ガスなどの無機有機混合ガスのガスクロマトグラフィーに関する報文は多数あるが,いずれも2種以上のカラムを必要としていた.そこで著者らは,昇温法を用いた1種のカラムによる全成分の一斉分離について,その可能性を検討した.昇温法として,ステンレス製カラムに直接電流を流して加熱昇温する段階昇温法を用いた.カラムは活性アルミナーカーボワックス20M(2%,2m×4mmφ)およびPorapak-Q(2m×3mmφ)が適当で,n-ブタンまで15分以内に分離溶出させることができた.定圧法を用いた段階昇温法の再現性,直線性は良好であった.