1. 当院における遠位弓部大動脈瘤の治療成績
- Subjects
TEVAR ,遠位弓部大動脈瘤 ,elephant trunk法 ,t-TAR+TEVAR ,2期的手術 - Abstract
遠位弓部大動脈瘤に対する治療戦略として,我々は中枢側ランディングゾーンが十分な場合にはTEVAR(Thoracic endovascular aortic repair)を選択し,ランディングゾーンが不足する場合にはt-TAR with ET(translocated total arch replacement with elephant trunk)+TEVARによる2期的手術を選択してきたが,今回当院の治療成績に関して検討した.2015年4月〜2020年6月に上記技法を用いTEVARを併用した遠位弓部大動脈瘤48例を対象とした.内訳はTEVAR24例とt-TAR with ET+TEVAR 24例で2群間の患者背景,術後成績を比較検討した.全体における周術期死亡は認めなかった.遠隔期死亡は9例(18.8%),大動脈瘤関連死亡は1例(2.1%)であった.瘤関連イベントは全体では9例(18.8%)(10mm以上の瘤径拡大5例typeⅠEL2例,脳梗塞2例,その他1例)で,対麻痺は認めなかった.死亡率,瘤関連イベント回避率のいずれも両群間の有意差は認めなかった.当院の治療成績は諸家の報告と比較して,大動脈瘤関連死亡は低く良好であった.一方,遠隔期におけるエンドリークによる瘤拡大が問題であり,我々の術式における今後の課題と考えられた.
- Published
- 2020