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フラムベシアはその病原體なるSp. pertenuisが黴毒病原體なるSp. pallidaと形態的に區別する事不可能にして,血淸反應に於ても兩者共に陽性に發現し,且つ所謂驅黴劑のフランベシアにも著効を呈す等の點に於て黴毒と極めて類似し,又之等に因って來る處の疾病の臨床的症状にも亦種々相似たる點多くして,兩者の異同に關しては從來多數の學者に依りて屡々論議せられたるも,今尚其意見の一致を見ざる處なり。其の論據と雖も主として臨床的所見の概括的相違點を根據として論じたるもの多く,其の論旨を専ら兩者の實驗的根據に求めたるもの比較的尠し。著者は黴毒並にフラムベシアに於ける所謂交叉免疫に就て,フラムベシア家兎に倍數稀釋法並に靜脉内接種法に依りて黴毒を接種し,因って發生する下疳の大小,成否,潜伏期並に全身症候をも考慮に入れ,免疫の有無を論じ以て兩者の異同に就て其知見を增補せんと企て,次の如き結果を得たり。フラムベシアの頻回接種により高度の免疫を獲得せる家兎に,背皮内或は靜脉内注射に依りて黴毒を接種せるに,免疫家兎に於けるものゝ潜伏期稍々遲延し,下疳の大いさ及び菌液稀釋度に於ても劣れるを觀,全身症候發生率に於ても成績稍々遞下せるを認め得たり。即ち黴毒再接種の場合に於ては第I回接種性下疳の爲に獲得せる下疳免疫は,靜脉内再接種に依る全身症状の發現を防止するに反し,フラムベシア免疫家兎はSp. pallidaの侵襲に對し殆んど防禦力の無き事實を實驗的に證明せるものと謂ふ可く,兩者間に免疫學的に劃然たる區別の存在するを是に立證せり。, 新字体抄録:フラムベシアはその病原体なるSp. pertenuisが黴毒病原体なるSp. pallidaと形態的に区別する事不可能にして,血淸反応に於ても両者共に陽性に発現し,且つ所謂駆黴剤のフランベシアにも著効を呈す等の点に於て黴毒と極めて類似し,又之等に因って来る処の疾病の臨床的症状にも亦種々相似たる点多くして,両者の異同に関しては従来多数の学者に依りて屡々論議せられたるも,今尚其意見の一致を見ざる処なり。其の論拠と雖も主として臨床的所見の概括的相違点を根拠として論じたるもの多く,其の論旨を専ら両者の実験的根拠に求めたるもの比較的尠し。著者は黴毒並にフラムベシアに於ける所謂交叉免疫に就て,フラムベシア家兎に倍数稀釈法並に静脉内接種法に依りて黴毒を接種し,因って発生する下疳の大小,成否,潜伏期並に全身症候をも考慮に入れ,免疫の有無を論じ以て両者の異同に就て其知見を增補せんと企て,次の如き結果を得たり。フラムベシアの頻回接種により高度の免疫を獲得せる家兎に,背皮内或は静脉内注射に依りて黴毒を接種せるに,免疫家兎に於けるものゝ潜伏期稍々遅延し,下疳の大いさ及び菌液稀釈度に於ても劣れるを観,全身症候発生率に於ても成績稍々逓下せるを認め得たり。即ち黴毒再接種の場合に於ては第I回接種性下疳の爲に獲得せる下疳免疫は,静脉内再接種に依る全身症状の発現を防止するに反し,フラムベシア免疫家兎はSp. pallidaの侵襲に対し殆んど防禦力の無き事実を実験的に証明せるものと謂ふ可く,両者間に免疫学的に劃然たる区別の存在するを是に立証せり。