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1 はじめに 工場や倉庫,住宅など低層構造物の耐風設計,ある いは高層ビルなど大規模建築物周りの風環境アセスメ ントなどにおいて,地表面近くの風速分布,乱れの強 さ,ガストファクターなど,自然風の性状を把握する ことは重要である。日本建築学会の建築物荷重指針・ 同解説(以下,荷重指針)では,地表面付近の風速の 性状が複雑であり,地表面粗度の影響を大きく受ける ことや,これまでに報告された実測例が少なく不明な 点が多いことより,周辺の地表面の状況に応じて定ま るある高さ Zb以下の範囲においては,平均風速,乱れ の強さを一定値としている。また,それ以上の高さで は,地上高さ Z の指数関数として与えている。したが って,これに基づいて算定した場合,Zbより低い構造 物の風荷重や地表面付近の平均風速を過大に評価して いることも多いと考えられる。 筆者らは,地表面粗度の状況が異なる複数の場所に おいて,地上高さ 10m までの 2 ないし 3 高度における 風速の観測を行う機会を得た。本報告は,それら実測 結果に基づき,地表面近くの風の性状について検討し