1. 国際法委員会「外国人の追放に関する条文草案」の研究(3・完)
- Subjects
難民 ,外国人の追放 ,条文草案 ,自由権規約 ,出入国問題 ,国際人権法 ,国際法委員会 ,ノン・ルフールマン原則 ,拷問等禁止条約 ,退去強制 - Abstract
application/pdf, 本稿の目的は,国際法委員会が2004年に採択した「外国人の追放に関する条文草案」の内容を検討することによって,今日の国際法(特に,人権関係諸条約)の発展,展開の下で外国人の追放に関する国家の伝統的な権利がどのように捉えられているかを検証することにある。本条文草案は,外国人の追放をめぐる国家の権利に関する一般的原則の確認から始まり,国際法による国家の権利の制約の範囲,追放に服する外国人の諸権利,追放の手続上の規則などを含んでおり,この問題に関する今日の国際法・国際人権法の理解にとって多くの示唆を含んでいると思われる。特に,現在,我が国では入管法の改正が議論されているが,本条文草案において定められている追放の要件,追放の対象となる者の権利および追放の手続的保障などと密接に関連している。しかし,改正案の検討過程で本条条文草案について,精査された形跡はない。したがって,改めて本稿により本条文草案の意義を確認しておく意味があるだろう。本稿は,3名による共同執筆であり,北村が全体を監修者としてとりまとめるが,各執筆者の担当部分を明示し,それぞれの担当部分については各人の文責に委ねることとする。第55巻1号および第55巻4号に続いて,本号では,第21条から第31条までの各条についてILCのコメンタリーの分析とそれに関する所見をとりまとめている。最後に,「おわりに」では,全体を通じた所感を述べる。
- Published
- 2022